Deep Impact
音楽全般を扱っています。主に邦楽、洋楽のディスクレビュー。たまに暴走に走ります。
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[Column] Albums Of The Year 2011
2011年 12月 10日 (土) 15:29 | 編集
今年もやってまいりました。2011年の年間ベストアルバムの発表です。例年通り、20作全てにコメントを付けてあります。では気軽にお楽しみくださいませ。


No.01 : " James Blake "/ James Blake



兎にも角にも話題になった1枚で、私も良く聴いていた1枚。とはいえグラミー賞主要部門にはノミネートされなかったし、現時点で1位に挙げているメディアも無かったりで絶賛ムードではない様子。確かにそれは今作の拠り所の無さを思えばそうなのかもしれない。正直言って、(ポスト)ダブステップ方面から見ても、ソウル方面から見ても決定的なものに欠けるという意見には少なからず賛同できるところがある。それでも今作をNo.1に挙げたのは、楽曲の歪さがもたらす違和感に中毒になり、耳をついて離れないから。このブログでも何度か書いたように、彼の楽曲の構成は本当に特徴的。エフェクトされた弱々しい歌のリフレインの背後で、大胆にノイズやベース音の拡大をし、「間」の美学を感じさせる曲展開は何度聴いても素晴らしい!と拍手したくなる。この「間」のためならダブステップなんてただの手段に過ぎないとある意味突き抜けたところに今作の真価はあるのかも。
単独公演も近年の中でも上位に来る音楽体験であったし、今作の後にリリースされたEPも素晴らしかったし、個人的にはハイプではないと信じ切っている。まだまだ若いし、これからの活躍に更に期待。



No.02 : " Space Is Only Noise " / Nicolas Jaar


ジェイムス・ブレイクと同じくらいホープなのがこのニコラス・ジャー。初めて試聴したときにもう既に虜になっていて、衝撃度で言えばこちらの方が上かもしれない。こちらもとにかく若いのに、音楽の一番渋くて刺激的な部分を知っていらっしゃる。全体を覆うデカダンなエレクトロニカには狂気すら備わっている気がするし、コラージュの方法も音楽的な背景を感じさせて非常にユニーク。天気が悪い日と妙にマッチするので、雨の日になるととりあえずこれを聴いていたような。グラストンベリー2011でライヴを観られたのも幸運だったなー。



No.03 : " Crazy Clown Time " / David Lynch


言わずと知れた映画監督デヴィッド・リンチの初アルバムが信じられないほど素晴らしい!その割に意外と話題になっていなかった?のが残念なのだが、イメージを喚起させるアルバムとして抜群に優れていた。様々な効果音や雰囲気たっぷりのギターなど、不穏としか言いようの無いサウンドはこのラインナップの中でも異彩を放っている。うっかり朝になんて聴いてしまうと、その日の仕事ははかどらないこと必至。この人も一応新人なので、今年はベスト3が新人の作品ということになるのか(たぶん初)。



No.04 : " Seefeel " / Seefeel


Seefeelについて存在を知ったのは今年というこの位置に挙げるにはやや説得力不足だが、一気に過去作を買ってしまうぐらい嵌ってしまったので仕方ない(そして過去作も問答無用で素晴らしかった)。所謂ワープ系のIDMに位置する音楽性ではあるとは思うのだけど、リズム隊が太く重く貢献していることでその先を鳴らしていることが感じられる。聴き方によってはトライバルですらあったりして、堅く冷たい印象を与えがちなこの類の音楽の中でも暖かみや熱を感じられるというか。残念ながらSonarSoundでの初来日はキャンセルになってしまったようだけども、来年にはぜひリベンジしてほしいな。



No.05 : " Velociraptor! " / Kasabian


Amazonレビューでの怖いくらいの絶賛ぶりと、その他ブログでも頭から批判する人のいない、とにかく評判の良い今作。確かにこれはカサビアンが不動のポジションを手にしたといっても過言ではない、記念碑的な作品と言えるだろう。すごく痒いところに手が届いていて、まったく器用な人達だな~と感心するばかり。ポップなメロディー、グルーヴ感、バラエティさ、それらが結ばれた結果正三角形になっているかのようなバランスの良さがある。きっとこれからも良い作品を作り続けてくれるはずだ。



No.06 : " If Not Now, When? " / Incubus


恐らく今作を年間ベストにあげる人はそう多くはないだろう。賛否両論の作品であったし、しかもファンの人ほど受け入れられなかった様子。確かに全編に漂う静謐さを退屈と捉える人の気持ちも分からなくない。だけどインキュバスがへヴィロックの背後でアトモスフェリックなサウンドを鳴らし続けていたキャリアと、遂に鳴ってしまったこの生音アンビエントの完成度を考えると、やはりこの位置しかありえない。レッチリともパール・ジャムとも違う地平に到達したことを宣言する今作には賛辞を送りたい。



No.07 : " Wasting Light " / Foo Fighters


こうして作品を並べてみるとこんなど真ん中ストレートなロック作品がいかに珍しいか、そして今の時代やりにくいかが分かる。しかしだからこそこの作品の輝きが相対的に増してさえいるような。説明いらずの王道で、ロックとは何なのかよく分からない中高生にロックとは何かを説明する際に使えそうなぐらいだ。アルバムとしてもフーファイ史上最高に引き締まっていて無駄がなく、個人的には"The Colour And The Shape"に並ぶ傑作。そして最終曲"Walk"は泣きの一曲。



No.08 : " Eye Contact " / Gang Gang Dance


膨大な情報量と小宇宙のような壮大な世界観にのっけからやられてしまう怪作。エスニック、サイケ、シンセいくつもの要素が重なり、それがダンサブルに降りかかってきてかなりの高揚感を伴っている。また短いインタルードを挟むことで全体がシームレスになっており、一度乗ったら最後まで突き抜けるのも良い。しかもメロディアスでもあって風通しの良さも持ち合わせているのだから恐れ入る。



No.09 : " Isam " / Amon Tobin


フィールドレコーディングを取り入れた作品だが、自然と全く一体になっていないのが素晴らしい。音を蠢かせる素材として取り入れたまでで、結果的に鳴らされるのは何とも歪で高圧的。昆虫を採取して、迷わず標本にするような支配的なものを感じる。にしてもこの音の濃度と熱量は一体何なんだろうか。ポップではないんだけど、あまりのエキサイティングなサウンドでポップに聴こえるから不思議。



No.10 : " Replica " / Oneohtrix Point Never


本当に最近初めて耳にしたので滑り込みランクイン。興奮して手に取ったというよりは、吸い寄せられるようにいつの間にか手にしていたパターン。アンビエント/ドローンの中でサンプリングが表れては消え、表れては消え、何かが終わっていくような儚げな感じが魅力だったのだろうか。まだ自分の中でもよく整理しきれていないが、ふとした時につい聴いてしまう。骸骨ジャケの魅力と、1曲約3分の潔さも勿論プラスに働いている。



No.11 : " The Only She Chapters " / Prefuse 73


プレフューズというよりはスコット・ヘレン総体としてみたときに、凄く納得がいくアルバム。プレフューズならではの緻密なレイヤーと、他名義での成果を注ぎ込んで作られたプレフューズ流音響世界。女性をテーマに制作したからこその妖しさにも新鮮さを感じた。いよいよスコットヘレンが手法ではなく、確かな才能でもって語られる時が来たのだ。しかし働くなーこの人は。



No.12 : " The King of Limbs " / Radiohead


レディオヘッド史上最も評価が割れている、というか否の方が多い、非ロック的な作品(と言われている)。ダブ・ステップからの影響が大きく取り沙汰されたが、むしろ生音と電子音の整理の鮮やかさにこそ私は惹かれた。貫録さえ感じさせるようなその咀嚼具合に驚きは無いかもしれないけど、本当にセンスがあるなぁ~と。そしてトム・ヨークの歌はいつだって強烈、なんでもポップになってしまう。



No.13 : " Drums Between The Bells " / Brian Eno


昨年に発表されたアルバムも素晴らしかったけど、今作も多分に刺激的。バンドのプロデュースなど歴史の背後にイーノありとまで言えるような状況になっている御大だが、還暦を超えてなお音楽への探求を止めないその姿勢には素直に尊敬してしまう。今作のテーマは「”詩”と”声”の音楽的解釈」ということらしいが、色々な要素が詰まっているのでその良さは非常に言語化しづらい。だが、音に好奇心が宿っていることは誰でも分かるはず。



No.14 : " Mind Bokeh " / Bibio


震災直後に発売され、当初はあまり聴けなかったのだが、しばらくして暖かくなり桜が咲いてきた頃に重宝した1枚。その意味では忘れがたいアルバムになっていると言えるだろう。タイトル通り、幽玄でたゆたうエレクトロニカ・サウンドが現実の境界線を曖昧にしていくような。ノスタルジックでファンタジック、でも同時にカラフルでもある、さすがIDM界のネクストホープ。



No.15 : " Blood Pressures " / The Kills


ザ・キルズの中でも最もバランスが取れていて、リピート率が断然高い。劈くようなギターがあり、ダンサブルであり、ミドルテンポで聴かせる貫禄もあり。時代に流されなかったからこそサバイブしてきた、その音楽性の確かさが発揮された好盤。偶然にもグラストンベリーとフジロックで2回ライブを観られたのだが、どちらでも彼らは良かったなぁ。



No.16 : " Mood Algorithms " / Dday One


音がとにかくツボ。アブストラクト・ヒップホップのブームが去ってから久しいけど、やはりこういう音には抗えないものがある。ベース音の主張があり、ジャジーな上物があり、何ともスモーキーな雰囲気。過去作も含めて何度もリピートしてしまう魅力が備わっている。



No.17 : " Nine Types of Light " / TV ON THE RADIO


諸作の中では比較的話題にならなかった?と思うのだが、雑多な音楽性が成熟へと結びついた稀有な作品だと思う。渋いメロディーに緻密な音像、軽くは聞き流せないものがある。でもあまりに音楽集団としての色合いが強いのか、グラストで観た彼らのライヴは正直微妙だった。



No.18 : " Finest Hour " / Submotion Orchestra


生音ダブステップという謳い文句に誘われて手に取ったが、巧妙にバックトゥザ90'sを体現する巧者だった。The Cinematic Orchestra、Portisheadなどとの類似性を感じさせながら、重たくなく後味すっきりなところもまた良し。"All Yours"は今年の中でも指折りの名曲。



No.19 : " Hosonova " / 細野晴臣


何か理由があるわけではないが、今年は本当に邦楽を聴かなかった。今作が邦楽からの唯一のランクイン。今作には音楽を何十年間も愛してきた細野さんならではの「業」を感じる。匂いまで伝わってくるような圧倒的な音の良さは流石。そして実はジャンルレスで、その天才ぶりを発揮している。



No.20 : " Conditions of My Parole " / Puscifer


あまり期待していなかったけど聴いたらものすごく良かったプシファーの2枚目。ダークなカントリーソングあり、シンセを使ったメイナード師匠の美声を堪能できるものあり、へヴィロックのおいしい部分を持つ曲あり、かなりお腹一杯になるアルバム。ギャグジャケットとは裏腹に堅実な作りだ。


 以上、20枚が2011年の年間ベストアルバムとなります。やはり今年のキーワードはポスト・ダブステップということになるんでしょうか。所謂ダブステップのフォーマットを使用していなくても、そこからの影響を感じさせる作品は多かったように思います。そして小粒感があったのも今年の特徴で、大物のリリースが絶えなかった割に、作品自体は「フツーに良い」というものが多かったですね。
 上に挙げた20枚以外にはFountains Of Wayne、Bjork、Toro Y Moi、The Pains Of Being Pure At Heart、Balam Acabなどがあったのですが泣く泣く外しました。結構瀬戸際まで迷いました。そういう意味では、ドカンと一発みたいな派手な名盤はなくとも、個々で充実していた1年だったんですかねぇ。

こんな長い記事を読んでいただいてありがとうございました!

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