Deep Impact
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[Review] If Not Now, When? / Incubus
2011年 07月 11日 (月) 00:06 | 編集

" If Not Now, When? " / Incubus

 結成20周年を迎えるインキュバスの7thアルバム。活動休止を経て5年ぶりに届けられた本作は、「経済」、「気品」、「空間」、「抑制」といった言葉のやり取りの中で生まれたようだ。またフロントマンであるブランドンによれば「今までインキュバスが生み出してきたどの作品よりもダークでスロウ」、「ロマンチックで豊かな音のラブレター」などとも表現されている。確かに1曲目"If Not Now, When?"からして今までの彼らとは一味違う。遠くから聴こえてくるようなエフェクトから次第に音数が増えていき、ブランドンの歌声が伸びて恍惚の瞬間が訪れる際の美しさにいきなり度肝を抜かれる。その余裕ある楽曲の構成には、前作のオープニング"Quicksand"からの明らかな進化を感じ取ることが出来るだろう。その後もイントロからして落ち着きのある穏やかな名曲"Promises, Promises"、通底音のようなアンビエントとアルペジオを筆頭としたバンドサウンド、そして歌声が三位一体となる"The Original"、過去との接点を一番分かりやすく表しながらもより自然体なサウンドで貫禄を感じさせる"Adolescents"などメンバーの言葉通りのサウンドが聴ける。そして白眉は"In The Company Of Wolves"で、7分を超える尺の中でサイケデリックへと突入していく展開は心地よすぎてどうにかなってしまいそうになるほど。

 全編、細部に工夫は凝らされているものの、あれもこれもというのではなく優れた彫刻のように無駄がない。そのため一音一音が洗練された、非常に鮮やかで美しいものとして聴こえるのだろう。ファンの中には今作の落ち着きを単なる地味さとして捉える人もいるかもしれない。確かに彼らが過去に残した荒馬のようなロックサウンドは多分に魅力的だ。だがもし時間があるのなら、今作で「獲得したもの」、「到達した領域」について考え直してみてほしい。それはバンドがプレイしたサウンドで以ってアトモスフェリックな音像を構築するということ。言い換えればロックで風景を描き切るという野望。世の様々なバンドのように電子音を導入して世界観を広げるでもなく、名の通りロックのフォームから逸脱して新しいアプローチを探るポストロックでもなく、あくまでもロックバンドとしてそれをやろうとするところにこのバンドの真価がある。ラップメタル全盛の頃にリリースされた"Morning View"も既にそうしたことを狙った作品であったし、"Look Alive"でのインストや"Sick Sad Little World"や"Earth To Bella"などの楽曲でも推し量ることが出来た。そういった軌跡を踏まえると今作の楽曲達がより一層輝いて見えてくるとともに、唯一無二の頂へと登り始めたのではないかという気さえしてくる。「今じゃなきゃいつ?」というタイトルも彼らのそんな気概を表しているのではないだろうか。音楽集団でありながら、同時にバンドという形態を愛する彼らだからこそ作り上げることが出来た傑作。

( 2011 )

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