Deep Impact
音楽全般を扱っています。主に邦楽、洋楽のディスクレビュー。たまに暴走に走ります。
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The Slip / Nine Inch Nails
2008年 05月 09日 (金) 18:38 | 編集
nin_slip.jpg
" The Slip " / Nine Inch Nails

7thアルバム("Ghosts I-IV"をアルバムとして扱って)。"Year Zero"がリリースされたのが去年
の4月、36曲で2時間を超えるインスト・アルバム"Ghosts I-IV"がリリースされたのが今年の3月、
そして今作"The Slip"が5月。最近のトレント・レズナーに関してだと毎回書いているような気がす
るが、5年ぐらい軽く間を空けていた以前から考えると恐ろしいぐらいの創作意欲である。しかも毎
回、投げやりではなく、きっちりと作りこんでいる印象があり、トレント・レズナーは過去最高に好
戦的な姿勢なのだと感じられる。その好戦的姿勢を後押しするものとして、インターネットは外せ
ない。"Year Zero"では、発売日前に全曲試聴、(恐らく)オフィシャルのネットリーク、謎めいたサ
イトを使ってファンを煽った。"Ghosts I-IV"ではサイン入りの限定盤から5$のダウンロード盤まで
タイプを分けて販売、ライト層からコア層の満足を網羅した販売方法を実現。そして今作は完全無
料配信!(7月にアナログとCDが出る) 去年から地続きであるネットでのアクションは、作を追うご
とにリスナーにとって満足度の高いものとなっている。ネットでの新しい可能性を見つけたトレント
はこれからも挑戦的な姿勢を続けるだろう。

"With Teeth"以降のNINというのは、世間からシンプルだと言われ続けている。確かにそれは間
違っていない。だが、もう少し付け加えさせてもらうと、近年のNINの音楽は、ロック・サウンドやエ
レクトロニカ・サウンドをそこまで区別せずに曲を作り上げる要素として同等と扱っている印象があ
る。鳴らすべき音を選択して、それだけを鳴らす。鳴っている音が全て不可分な関係で、どれも引
くことが出来ない。タイトなドラムも、インダストリアルも、頭からついて離れないピアノも、打ち込み
も全て必要な要素なのだ。でもそれを一緒くたにしてしまうのではなく、敢えて「詰め込まない」、
「鳴らすべき位置で鳴らす」そこに最近のNINの表現の核があると思う。また、そのセンスがNINの
表現を特異なものへ導いているとさえ思える。"The Slip"はその意味で到達点だ。"With Teeth"
~"Year Zero"と続いてきた(一般的にはマッチョと言われている)ロックサウンドは、潔さに磨き
が掛かっているし、"Ghosts I-IV"で培ったと思われる静的なエレクトロニカは聴き易いのに陳腐
ではない。そしてその結果、今作では良い意味での軽さ、表現の躍動感を手にすることに成功し
ている。前作のレビューで「NINは精神的に完全に変わった」と書いた。今作を聴くとなおさらそう
思える。90年代の成功(本人とっては恐らく亡霊)に付き纏われないNINはこれから更なる傑作を
生み出すのかもしれない。そんな満足感と、期待を感じさせるような作品。

★★★★★ ( 2008 )
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