Deep Impact
音楽全般を扱っています。主に邦楽、洋楽のディスクレビュー。たまに暴走に走ります。
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Artist Pickup 12 : Radiohead
2008年 02月 20日 (水) 02:20 | 編集
もうこのコーナーをお忘れの方も多いかと思いますが、久しぶりに書きます。ええ、あの
「アーティスト・ピックアップ」のコーナーです。自分でも驚いたんですが、この企画約1年
ぶりです。怠慢もここまでくると、ダメですね。今回もがんばって書きます。ではドウゾ。
今回は・・・


最近のリラックス・モードを反映した一枚。トム笑いすぎ。

Radiohead!ついに書いてしまいますいますよ、このバンドを・・・とついつい意気
込んでしまうのは彼らの残した足跡があまりにも多く、そして大きいから。先日もネットにおいて
新作を突如発表。しかも"It's up to you"と値段をリスナーに決めさせるという前代未聞な方式
で。そりゃあもう度肝を抜きましたね。そしてアルバムの内容も(常に)素晴らしく、意味あるもの
で、個人的にもほとんど全てのアルバムを気に入っております。そういうリスナーが多いので
しょう、彼らのアルバムはいっつも「偉大なアルバム50枚」的なリストの常連です。まあ、そん
な数々の称賛を抜きにしても彼らの音楽は素晴らしいと思います。今回は少しでもその魅力
が伝われば光栄です・・・でも彼らの音楽って言葉にするの難しいんですよね(笑)

radiohead_02.jpg
こちらは緊張感のある一枚。こういうのも彼らの魅力。

■出会い
ハッキリ言って出会いは最悪です。まだ洋楽に足を踏み入れて間もない頃、某レンタルショップ
にて「名盤」のシールが"KID A"に貼ってありました。もちろん雑誌などでよく目にしていたし、レ
ディオヘッドがどんなバンドか興味があったので、何気なく手に取りました。そして自分はこともあ
ろうか、"KID A"をレディオヘッド初体験にしてしまったのです。それが悲劇(?)の始まり。エレク
トロニカのエの字も知らない自分はもちろん聴いて困惑。というかイギリスのバンドってオアシス
とビートルズぐらいしか知らなかったですからね。何故一番とっつきにくい"KID A"を選んでしまっ
たんでしょう(笑)自分は勝手に「こんなの音楽じゃない!お経か何かだ」と決め付け、このバンド
が大嫌いになっていきました。でも他のアルバムもとりあえず借り、嫌いとは思いつつも、何故か
聴き返してしまって(不思議な魅力があったんですかね)、気づいたら"OK Computer"を買って
ました。そして今では不動の「一番好きなバンドのひとつ」になってます。

■魅力
沢山ありすぎて正直どれを書いたらいいのか分かりません。というか色々な要素が結びついて
世界観を作り上げているっていうのもありますし、時期によっても要素が違っていたりしますし。
ただ自分が彼らの音楽について最も魅力的だなと感じるのは圧倒的な美しさと巨大さです。
ギターロックからエレクトロニカの導入を経て、そして今に至るまで実に様々な音楽的要素に手
を伸ばしてきた彼らですが、美しさと巨大さという2点はどの作品にも当てはまると思います。
何故その美しさと巨大さが生まれるかといえば、それは構築性が優れているからでしょう。メロデ
ィーやヴォーカルの秀でた面(というか超一流)があっても、それに負けないぐらい音楽の方も魅
力的であり、多彩であり、そしてバランスが素晴らしいです。良く彼らについて言われている「革新
性」だとか「新しい音楽」だっていう印象は、自分には全くなくて。それよりも既にある要素の中から、
自分達により入れられるものを選択して、そしてそれを自分達のものにしてしまうという能力に長
けているのでは。まぁもしかしたらそれが「新しい」ってことなのかもしれませんけど。

アルバムは現時点で7枚。それぞれ魅力が少しづつ違うのでこれから詳細を追って行きます。

■ヒストリー


" Pablo Honey " ( 1993 )

上で美しさと巨大さを魅力としてあげましたが、残念ながらこのデビューアルバムはその範疇では
ありません(笑)一番分かりやすくいえば、普通のロック。でもホントは全然普通なんかではなく、90
年代の名曲と謳われた"Creep"を筆頭にいい曲が何曲も入っています。ただしかしアルバムとして
のトータリティには欠け、このアルバムの直後に"Pop Is Dead"なんてわけの分からない曲も出し
ていたりして、まぁとにかく若いって感じです。個人的には、まだトム(ヴォーカル)が駄々こねている
印象があって、イマイチという評価をせざるを得ないアルバムですね。ちなみにメンバーはこのアル
バムを無かったことにして欲しいらしいです。とか言っておいて、03年のサマソニでは"Creep"をやっ
ちゃったりしてます。


" The Bends " ( 1995 )

そして大躍進の2ndですよ!前作の(クリープのみの)ヒットのプレッシャーを感じながらも(タイトル
は潜水病の意)、結果的にはそれを跳ね除けギターロックの限界とも言えるべき高みへと到達しま
した。ギターアンサンブルの美しさのみならず、トムのヴォーカルのエモーションも本当に魂へ届く
ようでグッと来ますね(もしかするとトムのヴォーカルはこの時が一番エモーショナルかも)。"Fake
Plastic Trees"のこの世のものとは思えない美しさ、"Street Spirit (Fade Out)"の幽玄な揺らめき
等、彼らの核となっていくような代表曲が収められています。未だにこのアルバムの再来を待って
いるファンも少なくないのでは?レディオヘッド入門にはこのアルバムが最適です。取っ付き易い
ですし、聴き込んで行くうちにそのダイナミックさと深みのある美しさにやられると思います。


" OK Computer " ( 1997 )

そして・・・この超がつくほどの傑作です。従来の多重的なギターと共にこのアルバムを支配して
いるのはトリップ・ホップを始めとするエレクトロニクスの導入(でもバランスはかなり素晴らしい
です)。それと共に時代を冷たく見据えているようなトムのヴォーカルやナイフのように鋭く、メラ
ンコリックを超えた本当の絶望の歌詞。ジャケットの「Lost Child」が象徴するように、90年代
半ば特有の人間性の欠落、見えないものへの恐怖、胸の奥から湧き出る焦燥感、「安心」への
執着など時代を的確に捉えたコンセプトは凄まじい構築性を持っていて、まさに時代を象徴する
というべき名盤です。でもそんな不安感の中に天から降りてきたような美しさも内包していて。一
曲目の"Airbag"から最後まで背筋がゾッとするような緊張感が持続します。久しぶりに聴いて
みてもその魅力は全く失われていないです。やっぱり個人的にもこれがベストですかねぇ・・・
もう二度とこういう時代が戻ってくるとは思わないという意味も込めて。
たぶん死ぬまで聴き続けるでしょうし。


" KID A " ( 2000)

前作が世界的な熱狂へと変わったのと反比例して、メンバーの緊張感というのは高まっていき
ました。そしてもがき苦しんだ上に作られたのがこの"KID A"です。シングルカットなし、ほとん
どのプロモーションなし。音楽的に「無い」のは特徴であったギター・ロックと美しいメロディー。
このアルバムを支配するのは、一見無機質なエレクトロニック・サウンドとコンピューターによって
分断されたメロディーと言葉。彼らのことを全く知らない人は「そんなもののどこに価値があるん
だ?」と思うでしょう。自分も実際そうでした(先にも述べたようにこれが最初ですし)。でも聴き
込んでいけば、これがレディオヘッドを荘厳な領域へと導いた作品であり、リスナーの感覚を研
ぎ澄ませる作品であるということに気付きました。またこのアルバムは隠れているだけで、実は
かなりの「熱」を内包したアルバムだということも書かなければならないでしょう。"Kid A"とい
う曲を聴くときに感じる、孤独感でも安心感でも無い、流れ行く人々をボーっと眺めているような
感覚はこのアルバムでしか感じ取ることは出来ません。"Idioteque"の危機感や"The
National Anthem"の狂気もまた然り。慣れるのにはかなり時間がかかりますが、
慣れてしまえば手放せなくなってしまうアルバムです。


" Amnesiac " ( 2001 )

前作と同時期にレコーディングされた数多くの楽曲のなかから、同作に未収録のナンバーを集
め、オリジナルアルバムとしてリリースされた作品です。いわば双子的なアルバム。だからなん
となく"KID A"の影に隠れているという印象が拭えない作品ですが、そんな扱いをするにはもっ
たいないぐらい豊かな作品です。基本的には"KID A"と同様、エレクトロニックなサウンドを多
用したアルバムですが、異なるのは今作はエモーショナルが滲み出ているところ。"KID A"
のように真空パックするのではなく、手で包み指の間から零れ落ちてくるような感情が感じられ
るのです。海へ沈み込んでいくようだけども何故か安心感が湧き上がる"Pyramid Song"、
混沌によってのた打ち回る"I Might Be Wrong"、ジャジーな雰囲気と共にこの世の終わりを
感じさせるような"Life in a Glasshouse"など名曲も多いです。個人的には"KID A"と
肩を並べるぐらい素晴らしいクオリティを伴った作品だと思います。


" Hail to the Thief " ( 2003 )

たぶんレディオヘッドが一線に立ってから最も短い時間で作られたのがこのアルバムです。発売
前は「ギターロックが戻ってくる!」なんて大騒ぎされましたが、蓋を開けてみればエレクトロサ
ウンドもギターサウンドもどちらも存在する集大成的な内容に。ただひとつの世界観を作ってい
るというよりは、個々の楽曲の力が大きいのが特徴です。それは悪く言えばバラバラということ
ですが、そうしたことによって評価できる点があると自分は思ってます。それは狂気を感じるよう
な熱量。短時間で作られたことによってシンプルな分ダイナミックさを取り戻したこと、世相を反
映した怒りなど様々な要因があるのでしょうが、自分はこのアルバムにはおどろおどろしい大き
さを感じるのです。その頂点はもちろん"There,There"や"A Wolf at The Door"といった曲
です。このアルバムはかなりの賛否両論なのですが(というか彼らのアルバムは大体意見が真
っ二つに割れます)、レディオヘッドが未だに音楽的情熱を持っていることを表している素晴らし
いアルバムだと思います。余談ですが"2+2=5"っていうのはジョージ・オーウェルの「1984」
から引用したんでしょうか?知っている方がいたら教えてください。

inrainbows.jpg
" In Rainbows " ( 2007 )

去年10月突如インターネット上で発売された現時点での最新作。しかも"It's up to you"と
価格を自由に設定させるという離れ技をやってのけ、音楽業界に正面からパンチを食らわすよう
な衝撃を伴ったものでした。さて、音楽的なレビューは前にしたので、詳しくはそちらを見ていた
だくとしましょう。今回はもっと下世話な感想を。「レディオヘッドも歳をとったんだな~」、最初の
感想はそれでした(笑)もちろん悪口でも、感覚が鈍ったという意味でもないです。落ち着いた雰
囲気の中で、自分達に必要なものをそうでないものを見定められるという所まで来ているという
ことです。だからこそ今作ではもがき苦しんでいるような印象は無く、確かな多彩さ、確かな美し
さが鳴っているんでしょう。もっといえば「音がリラックスしている」。今のレディオヘッドを的確に
映し出した、素晴らしい作品です。あと、実はこの作品隠れた「2枚目」(全然隠れてないけど)
というのも存在しているので、良ければそちらもドウゾ。

■Radioheadの3曲
う~ん、とても難しいです!でも今の気分ではこの3曲です。

・" Fake Plastic Trees"
ライブを実際に見たわけでもなく、ただ画面越しに見ていただけなのに涙が止まらなかった
曲。この曲にあふれるエモーションって言うのは凄いです。超・超・超名曲です。

・" Kid A "
オリジナルのバージョンも好きですが、ライブバージョンも好きです。オリジナルには
無い躍動感があったりして。あとオリジナルではトムの声にエフェクトがかかっている
んですけど、ライブでは生です。それが心地よくて凄く良いです。

・"Weird Fishes/Arpeggi"
イントロから最後まで大好きで、歌詞にもあるとおり魚になって綺麗な海を泳いでいく
ような曲です。ギターの音色が海面からさしてくる陽の光のようです。

■願い
ここまで熱く書いておいてまだ一回も彼らのライブを見たことが無いので、ぜひ来日
してほしいですね。かなり確立は高いと思いますけど。凄くいいバンドなので知らない
人はぜひ聴いてみてくださいね。

※2/21追記
どうやら今年の秋に来日が決定した模様。これ書いたの昨日なのになんて偶然だ・・・。
とにかく見られるらしい。かなり嬉しい、イェイ。

-関連ページ-
Radiohead ( Wikipedia )
"In Rainbows"レビュー (当ブログ内)
Comment
この記事へのコメント
すごいですね。
一回の更新でここまで語り倒すfafnirさんのモチベーションは一体何なんだろうと勝手に妄想しています笑

個人的に、レディオヘッドのモチベーションの在り処は「否定」なんだと思います。
最初はオックスフォードのアートぶった感性への嫌気だったのかもしれません。『パブロ・ハニー』の歪みの理由はそこだと思います。
それがロック、自分自身、世界とどんどん拡大否定されて、怪物性まで高めたものがレディヘの正体なんだと思います。
でも、その「否定」は「対象化」の裏返しです。
否定することで真っ当に向き合うというか、なんと言うか。

それが、『イン・レインボウズ』は違うんですよね。むしろ、否定しないことがあのアルバムのモチベーションなのかな。“It's up to you”、可能性は沢山あります。

随分と久しぶりなようですが、このコーナー面白いですね。
僕も真似してみようかな。
「徹底検証シリーズ」にします。
また次のアーティスト・ピックアップ、期待してます。
2008/ 02/ 20 (水) 03: 31: 29 | URL | 幸大 # -[ 編集 ]
>幸大さん
自分でもこのモチベーションは分かりません(笑)まぁとにかく好きなんでしょうね。

確かに「否定」は大きな要素かもしれません。否定が精細を極めたのがOK COMPUTERですからね。あの鋭さはちょっと異常です。

イン・レイんボウズはやはり去年のテーマだと思う「開放」なんですよね。安易かもしれないですけど。

面白いといって頂けて嬉しいです!本当に書いている甲斐があります。そして真似もドウゾ。他の人がある特定のアーティストに対してどう聴き、どう感じるかっていうのは興味がありますから!
2008/ 02/ 21 (木) 04: 28: 35 | URL | fafnir # eqP7eH0Y[ 編集 ]
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