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映画 : 父親たちの星条旗
2006年 11月 05日 (日) 17:51 | 編集
flagsofourfathers.jpg

『父親たちの星条旗』 ( Flags of Our Fathers )
監督 : Clint Eastwood
出演 : Ryan Phillippe , Jesse Bradford , Adam Beach 他
( 2006 )

- Story -
第二次世界大戦の重大な転機となった硫黄島の戦いで、米軍兵士たちはその勝利のシンボル
として摺鉢山に星条旗を掲げる。しかし、この光景は長引く戦争に疲れたアメリカ国民の士気を
高めるために利用され、旗を掲げる6人の兵士、ジョン・ブラッドリー(ライアン・フィリップ)らはた
ちまち英雄に祭り上げられる。


戦争映画というのはとても難しいジャンルの映画だと思う。まず、圧倒的なリアリティを求められる
し、極限状態を画面で表現しなければならない。身も蓋も無い言い方をすればその時点で制作費
が膨大なものとなってしまう。それに加えて兵士の苦悩、現状に対するアンチテーゼ、正確な歴史
認識まで求められる。一切の嘘が通じないのだ。だから戦争映画の8割は面白くない。面白くない
戦争映画の多くは単なるド派手なアクション、お国万歳、気の抜けた台詞、このうちのどれか(また
は全部)で覆い尽くされている。だから戦争映画を見るというのは、重い現実を受け止めるというの
という理由とは別に緊張感を持って見なければならない。さて、そこでこの「父親たちの星条旗」。
結果から言ってしまえば、これは「プライベートライアン」「ブラックホークダウン」以来の傑作だ。

まず頭を殴られたようなショックを受けたのは戦闘シーン。さすが「プライベートライアン」のスピル
バーグが制作がかかわったということで張り詰める緊張感には圧倒された。特に硫黄島上陸シー
ンの迫力は映画館でなければ100%感じ取ることは出来ないだろう(その分見る人を選んでしまう
かもしれない)。ただこの映画が素晴らしいのは戦闘シーンだけじゃない。クリント・イーストウッド
という人間の戦争に対する誠実さがこの映画からは溢れ出している。公式ページで見られる発言
にこう書いてある。「私が見て育った戦争映画の多くは、どちらかが悪正義で、どちらかが悪だと
描いていた。しかし、人生も戦争も、そういうものではないのです。」これは試合で敗北したボクサ
ーの人生とは何か描いた「ミリオンダラーベイビー」から引き継いでいるイーストウッド監督の現在
のテーマだ。この映画でも、国旗を掲げ英雄視された兵士の苦悩を描くと共に、政府の欺瞞に満
ちたキャンペーンを辛辣に批判している。アメリカ人監督にも関わらず、こういった姿勢を提示でき
るというのは本当に素晴らしい。

唯一苦言を呈するとすれば、あまりにもドキュメンタリータッチに描きすぎて、登場人物に感情移入
できず、映画的な盛り上がりに欠けることだろうか。確かにラスト30分からエンドロールにかけての
イーストウッド監督らしい「乾いた」映像はすごく印象的であった(このときのギター一本のBGMが
最高)が、映画中盤で本国と戦地を交互に描いていくところは人によっては混乱してしまうかもしれ
ない。ただ、その辺の「人間ドラマ」という部分は後編である「硫黄島からの手紙」を期待したい。今
作で徹底的に排除されていた「日本人の顔」にも迫ることが出来ているだろう。つまり、二つで一つ、
2作を見てからこそこの映画を正しく評価できるのかもしれない。

戦争と英雄、歓迎と苦悩、人間存在とは何なのか、臆することなく浮き彫りにした傑作。
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