Deep Impact
音楽全般を扱っています。主に邦楽、洋楽のディスクレビュー。たまに暴走に走ります。
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[Review] The King of Limbs / Radiohead
2011年 02月 27日 (日) 15:58 | 編集

" The King of Limbs " / Radiohead

 8thアルバム。ネット上で突如発表され、早くもパート2が出るのか出ないのかと憶測が飛ぶなど、毎度のこと話題になるレディオヘッド。しかしそんな喧騒とは無縁かのように、アルバムの内容はひたすら自らの音楽を研ぎ澄ましているようだ。"KID A"以降とも言えるエレクトロニカと緻密なバンド・サウンドを駆使して、ダークではあるけれども美しくて儚い音世界を構築しているのは相変わらず。そして今回はダブステップからの影響を感じさせるところも随所に現れて、未だその音楽に再定義を課し続けていることも提示。ただ、生音と電子音の垣根はかつての作品から比べると遥かに低くなっていて、最早どこからが生音かそうでないかが分からないほどに整理されている。主にエレクトロニカ、その他の様々な音楽に対する咀嚼も、ここへきて確立した感が。その替え難い音楽的センスに再び感嘆すると共に、余裕さえ感じてしまう。
 8曲37分という短い時間だが、聴き所は色々とある。積み上げられた刺激的なリズムと前に出たベース音が脳に直接響くような"Morning Mr Magpie" 、緻密なリズムと浮遊感、そして歌が実にスムーズに結実し今作を代表する"Lotus Flower"、否が応にも苗場の夜の森を思い起こさせるような神秘性が支配する"Give Up The Ghost"などなど。決して当たり前では無いサウンドを、スムーズに、軽やかに、コンパクトに描き切ったという意味で彼らの近年の彼らの真価を発揮している1枚。その分、試行錯誤に伴う大きなうねりだとか焦燥感、コマーシャルな部分というのは全てカットされているのでそこに期待している人は素直に"The Bends"と"OK COMPUTER"を取り出そう。

( 2011 )

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2011年2月の購入記録
2011年 02月 26日 (土) 18:35 | 編集
2011年2月の購入記録です。

新作
・" James Blake " / James Blake
・" Hardcore Will Never Die, But You Will " / Mogwai
・" Seefeel " / Seefeel

旧作
・" The Suburbs " / Arcade Fire
・" Since I Left You " / The Avalanches
・" Be " / Common
・" Come Around Sundown " / Kings Of Leon

DVD&Blu-ray
・" グラストンベリー・アンセムズ ~ザ・ベスト・オブ・グラストンベリー~ 1994-2004 "

ダウンロード
・" The King Of Limbs " / Radiohead

音楽8点、映像1点。今月はなんと言ってもレディオヘッドの新作に度肝を抜かれた月だったといえるでしょうね。アルバム自体が短いこともあってついついリピートが止まりません。あとはArcade Fireがグラミー獲ったということでミーハー買い。まだ好きになるほど聴き込んではいませんが。来月からはリリースが多くなり、そして各フェスのラインナップが発表される頃なのでますます音楽生活は充実しそうですね。

[Review] What The Hell / Avril Lavigne
2011年 02月 21日 (月) 01:25 | 編集

" What The Hell " / Avril Lavigne

 アヴリル・ラヴィーンが世に登場したとき、私は高校1年生。洋楽の海がここまで大海だとは知らなかった小僧っ子にとって、彼女が持つインパクトは凄まじいものがあった。それはまるで、J-POPからゆっくりと洋楽への扉を開けようとしていたところを、飛び蹴りでこじ開けてくるかのようであったと言えるだろうか。それほどまでに彼女は突出してポップな存在で、紛れもなく洋楽であるにも関わらずそれをものともしない(歌詞わかんねーを超える)強度があった。まず、楽曲のバランスが良い。オルタナティヴの匂いをあくまでも香水のように纏い、重くなりすぎずポップロックとして仕上げている。それに加え、アコースティックやバラードなどメロディーを強く押し出した曲もあり、SSWとしての確かさをも証明。そしてもう一つ、彼女の大きな魅力であったのが大胆不敵な態度。1stアルバム"Let Go"の仁王立ちジャケットからして分かるのだけど、初期のPVを見るとほぼ間違いなく眉間に皺を寄せたしかめっ面をしていて。このしかめっ面パワーは中々凄くて、なんとなく只者ではないと思わせるには十分過ぎるほど十分であった。バランス感覚としかめっ面を武器に、彼女はあっとういう間に勝利して行った。
 しかし、3rdアルバム"Girlfriend"のあまりの能天気さに閉口。3年が経って、4thアルバムのリードシングルとして今回の"What The Hell"が届けられた。ここにはしかめっ面も無ければ、バランス感覚も無い。代わりあるのは作り物感満載のトラックと、間抜けな顔して中指を立てる彼女だ。その変化は多分意識的にやっていて、今作の歌詞にもよく現れているし、「慣れ親しんだものに別れを告げて前に進む」という次作のタイトル"Goodbye Lullaby"にも象徴されている。もうあの頃の彼女はここにはいないこと明確に告げている。だからこそ、もう彼女を追いかける必要が無いことを強く確信した。アルバムはシングルとは違ってアコースティックなサウンドで、穏やかな作風になっているなんていう話もあるが最早ワット・ザ・ヘル。今までありがとうそしてさようなら、アヴリル・ラヴィーン。

( 2011 , Single )

[Review] Hardcore Will Never Die But You Will / Mogwai
2011年 02月 19日 (土) 18:38 | 編集

" Hardcore Will Never Die But You Will " / Mogwai

 7thアルバム。前々作"Mr.Beast"で轟音ギターを復活させながら、それを短尺の中で実現させたりと凝縮化を見せ、前作"The Hawk Is Howling"では自らのスタンダードをクリアに提示して見せた彼ら。その近年の流れを踏まえると、彼らは自らが作り上げたポストロック方程式(轟音×静寂)に対して頑なになることなく、気持ちがよいと思えるものを肩肘張らずに奏でている印象がある。今作もまさしくその流れの中にあり、攻撃的なタイトルとは裏腹にリラックスしたムードが全体を覆っている。まず、メロディーが優しく親しみやすい。否、彼らの作品がメロディアスでないことは無かったのだけど、今作はポップといえるほど際立っている。そして、音像を形作る音の一つ一つの要素が柔らかい。キーボードやシンセの音色、ヴォコーダー加工された歌など、彼らの作品の中では最も多様性に溢れたものとなっているのだが、そのどれもが洗練を帯びているのだ。その洗練化にはノイジーなギター・サウンドも含まれていて、角立った過去作のサウンドから比べると開放感を伴ったものへと変化している。ただその分音楽的な革新性や耳に残って離れないような引っかかりは少なく、偉大なるマンネリズムに片足を突っ込んでいるような作風なのであしからず。しかしながら、10曲53分という決して短いとはいえない作品をサラッと聴かせてしまうあたり、やはり立役者としての手腕の確かさを証明している。

( 2011 )

- 関連記事 -
・[Live Report] Mogwai @ 恵比寿 LIQUID ROOM( 2006.11.12 )
・[Review] Mr.Beast / Mogwai
[Review] Seefeel / Seefeel
2011年 02月 15日 (火) 23:13 | 編集
seefeel_seefeel.jpg
" Seefeel " / Seefeel

 知る人ぞ知る優良バンド?その道では有名?このシーフィールという存在がどの程度知れ渡っているのかをあまり良く把握していないのだが、過去作の絶賛廃盤中の状況をみるとやはり積極的に評価されてきたバンドとはいえないだろう。雑誌などでも目にする機会は殆ど無かったし、長い間忘れられていた存在だとも言える。しかしそんな彼らこそ、アンビエント/テクノにいち早く接近したポストロック黎明期のバンドで、後発組に大きく与えた存在なのである。そもそも「ポストロック」という名を冠せられたのは彼らが初めてだという。早すぎる(事実上の)活動休止さえしていなければ、IDMにおけるエイフェックス・ツインやオウテカのような立ち位置にいたのかもしれない・・・。
 さて、そんな彼らの15年ぶりの帰還作にして4thアルバム。私がかろうじて入手することが出来た2ndアルバム"Succour"ではまさにアンビエント/テクノへの接近が感じられる内容であったが、それは今作でも健在。硬質ながら浮遊感を感じさせるアブストラクトなサウンドに、彼方から聞こえる儚げなヴォーカル、尖ったノイズ。その幽玄な音響空間は今をしてなお緊張感を保持している。しかし今作の語るべきところはそれだけではなくて。今作には日本人のリズム隊がメンバーとして参加しているのだが、彼らの貢献が作品を更に奥深いものにしている。前面に出たダビーなベースと、強烈に生と感じさせる太いドラムが楽曲にはっきりとした輪郭を与えていると同時にある意味で野蛮さをも与えている。特にドラムの響きには太古というか原始性が感じられて、聴いていて唸るものがある。抽象性と具体性、培ってきたものと新しく手に入れたもの、それらを多分に駆使しながら作り上げた見事な復活作。これは聴いていて気持ちが良い。

( 2011 )
[Review] Thunder Ate The Iron Tree / A Lily
2011年 02月 02日 (水) 23:38 | 編集

" Thunder Ate The Iron Tree " / A Lily

 2ndアルバム。ポストロックバンドYndi HaldaのギタリストであるJames Vellaのソロ・プロジェクトA Lily。ふとした瞬間に試聴したことと、「フォークトロニカ」「ポップでカラフルなエレクトロニカ」といったキーワードだけで手に取り、正直その言葉以上のものが存在しない「ある程度良質な作品」に留まっているのだろうと思っていた。しかし、今作はエレクトロニカだけには留まらない、なかなか豊潤な音楽的背景を享受できるものとなっている。まず、バンド出身のエレクトロニカということで―これは似たような境遇の音楽家にも言えることだが―動きのある展開のはっきりした楽曲が多数収録されている。控えめなイントロから音を次第に足していき、エモーショナルな起伏を作るという一般的な構成はしっかりと抑えているということだ。Yndi Haldaではそれが長尺の中で組曲のように構成されているのだが、今作では比較的短尺で実現されているためとっつきにくさを回避している。そして、何よりも今作を特徴づけているのはトラックを構成する音ひとつひとつ(素材)の幅広さだ。このJames Vellaは音楽を高等教育を受けている音楽インテリらしいのだが、それがいい形で現れていて、アコースティックギターからバンジョー、ピアノその他多彩な生楽器が彩っている。しかもクレジットをみるにストリングスとブラス以外のほとんど楽器はは彼が演奏しているのが驚きだ。こういう類の音楽に限らないが、とりわけエレクトロニカでは後発者が先行者の影となってしまうことが多い中(個人的にはi am robot and proudの影響下にある人が多いと思う)、ジャンルを超えた独自性を獲得している。穏やかさと音に対する審美眼を持ち合わせた、良質な作品。

( 2011 )
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