Deep Impact
音楽全般を扱っています。主に邦楽、洋楽のディスクレビュー。たまに暴走に走ります。
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[Review] INNI / Sigur Ros
2011年 11月 28日 (月) 00:01 | 編集

" INNI " / Sigur Ros

 シガー・ロス初となるライブ盤にして新たな映像作品。残響ツアー・ファイナル、ロンドンでの公演を収録したものだそうだ。シガー・ロスのライブ映像といえば"HEIMA"という優れた作品が既に出ているが、今作もまた彼らの孤高性を再確認するものとなっている。"HEIMA"ではアイスランドの景色を織り交ぜながら「どこで誰に観られているか」というライブの共有感を感じられるような映像に仕上がっていたが、今作はひたすらにステージのみを追っている。ステージ/客席間にある(見えない)ヴェールの内側を映し出すようなその映像は、彼らのストイックさを際立たせ、集中を促す。またモノクロで、荒い粒子が目立つ古ぼけたように見せる演出が(元々の素材はHDらしいけど)、同時代性を敢えて喪失させ、彼らが持つファンタジーを増幅させているのも良い。
 今作を観ていて改めて思ったのは、彼らの音楽がいかなるものにも似ていないということ。これはきっとアイスランドにおける土着性が鍵なのではないかと推測しているのだが、ポストロックと一言で片付けることの出来ないユニークさを保持し続けている。写真や映像でしか見たことは無いがアイスランドと言えば頭に浮かぶ火山や自然、寒々とした光景が彼らの音楽を育んだのは間違いないだろう。代表曲"Svefn-g-englar"が素晴らしいのはもちろん、"Festival"のような最新曲も本当に崇高なまでに美しく、儚く、そしてドラマティックで実にシガー・ロス的。そして本編最後、音楽的な盛り上がりと映像がもたらすカタルシスが合致した瞬間は息を呑むほど素晴らしい。ストリングスやホーンが欲しい、もっと良いテイクがあるはず、最初期の映像が挟まれる意図がよく分からないなど好きだからこそ「もっと!」という思いが無いわけではないのだが、やはり素晴らしいバンドだということを再確認できるだけでも実に力のある作品。2012年には新作がようやく発表されるようだが、今から待ちきれなくなってしまった。フジロックにも来てくれないかな。

( 2011 )

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[Review] AHK-toong BAY-bi Covered / Various Artists
2011年 11月 02日 (水) 00:37 | 編集
ahktoongbaybi.jpg
" AHK-toong BAY-bi Covered " / Various Artists

U2の名作"Achtung Baby"が20周年を迎えた。合わせて過去最高に豪華なボックスセットの発売や、ドキュメンタリーの制作など本人達もファンも大きな盛り上がりを見せている。そんな中、英国の音楽雑誌であるQ Magazineの企画で本作の丸々カバー・アルバムが登場。カバーするアーティストも非常に豪華だし、うん、こういった企画は実に偉い!10/25発売号に特典としてCDが付録されたということだけど(Amazonにもそれらしいものが出品されている)、ネットで音源を容易く聴くことが出来たので一通り楽しませてもらった。カバーをした各アーティストへの敬意を込めて全曲紹介したい。

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[Review] Kinshasa One Two / DRC Music
2011年 10月 19日 (水) 23:15 | 編集

" Kinshasa One Two " / DRC Music

 デーモン・アルバーンが動けばそこでは面白いことが起きる。ブラーというバンドの活動がスロウになった一方で、そんな定説が出来上がりつつある。直近作であるGorillazの"The Fall"ではアメリカ旅日記を誰でも作れる方法で誰も作れないものを残していたが、次なる目線は再びアフリカへと。DRC=Democratic Republic of the Congo(コンゴ共和国)というその名もズバリな今回のプロジェクトは彼が発起人として始められたそうだ。その目的はオックスファム(貧困と不正を根絶するための持続的な支援・活動を100カ国以上で展開している団体・Wikipediaより)への支援という極めて政治的なプロジェクトだが、その結果、ダン・ジ・オートメーターを初めとする11人のプロデューサー、50人以上のパフォーマーが集まり今作が出来上がったというわけである。
 参加人数の多さの割にレコーディングには5日間しか費やしていないとあって、その音像はかなり荒削りだ。ひとネタで持っていくミニマルなトラックも目立つ。当然時間的な制約があってのことだろう。それでも今作が面白いのは、こういう企画ものに多い単なる「民族的」をかすめとった音楽になっていないがこそ。確かに所謂アフリカ的なパーカッションは多様かつ全面的に用いられているのだが、同時に現代的な音使いも多い。空き缶でも叩いているような音と、スマートフォンのアプリで作ったようなエレクトロが実に無邪気に混ざり合う瞬間には良い意味での違和感と、違和感がもたらす高揚感が伴う。デーモンの哀愁あるポップセンスが反映されているのは1曲目のhalloぐらいだが、駆け抜けるようなコラボの爆発とズレの楽しさがパッケージされた一枚。YouTubeに上がっているレコーディング風景も音楽を心底愛していることを感じられて非常に良い。



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・[Review] The Fall / Gorillaz
[Review] flumina / fennesz + Sakamoto
2011年 09月 27日 (火) 22:59 | 編集

" flumina " / fennesz + Sakamoto

 クリスチャン・フェネス、坂本龍一による2枚目となるコラボ作。"flumina"は教授が2009年に行ったツアー"ryuichi sakamoto playing the piano 2009"(川口公演に行きました!)にて披露された即興を元に、フェネスが音を足していく形で制作されたそう。前作"cendre"ではフェネスのサウンドを元に教授がピアノを足していたので、逆の制作方法となる。その分前作と比べて、教授のピアノが存分に活かされている。というかフェネスが元の音源を尊重しつつ、絶妙な手腕で調和するノイズやシンセを足していると言ったほうが正しいか(どうしても私はフェネスの方に評価が寄ってしまうのだが、リミックスやコラボにおいて空気感を壊さずにかつ自分の色を出すのはやはり素晴らしい)。この二人のコラボもいよいよ板に付いてきたようで、その調和具合は兄弟、もしくは師弟のよう。互いの音が反発せずに、タイトル通り流れるような自然さでアルバムは進んでいく。
 今作は24曲あって、そのすべてが異なる調(キー)で構成されているらしい。とはいうもののそれを聴き分けられるほどの耳は残念ながら持ち合わせていないので、その点での解説は他の方に任せるとして。いち電子音楽リスナーとしては、今作が持つ優れたアンビエンスに耳を奪われてしまう。全編2時間を超す長い収録時間となっているのだが、電子音と生音が不可分に溶け合った音像に静かに興奮を覚え飽きることはない。柔らかでもあり同時に厳しく突き放すようでもあり、聴き手との距離感の取り方がすごく上手いなぁと(たゆたうようでもあり冷たくもあるようなジャケットが非常に嵌っている)。全体として未完成の完成品といった風情もあり、自分の中でなかなか完結/消化するものではなさそうなので長い付き合いになりそうだ。スピーカーの前で黙って聴くよりは読書や睡眠のお供に適しているのかな。

( 2011 )

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・[Review] Seven Stars / Fennesz
[Review] Rome / Danger Mouse & Daniele Luppi
2011年 05月 22日 (日) 18:56 | 編集

" Rome " / Danger Mouse & Daniele Luppi

 稀代のプロデューサー、デンジャー・マウスと「SATC」のサウンドトラックを手掛けたイタリア出身の作曲家ダニエル・ルッピによるコラボレーション作品。今回のテーマは「マカロニ・ウェスタン」。1977年生まれのデンジャーマウスがなぜそこまで60年代のイタリア製西部劇に惚れ込んだのかは定かではないが、気合の入り方は相変わらず呆れるぐらい凄い。サンプリングを用いず、エンニオ・モリコーネのスタジオを中心に(!)現地ミュージシャンを起用しながら5年の歳月をかけたというから驚きだ。確かにその仕上がりは土臭く、匂いがたちこめるような「あの感じ」を見事に再現できているのではないだろうか。妖しげに響くコーラスもこれまたまさに。聴いていると自然にポンチョ姿でしかめっ面のクリント・イーストウッドが脳内再生される。ただ、リバイバルに終始しないのがこの男の真価であり、いかにも古臭くなりそうなテーマを現代的にスタイリッシュにしてしまう。ベックの"Modern Guilt"でもそれは遺憾なく発揮されていたが、このテーマに対する絶妙な距離の取り方というか一歩引いた客観的な立ち位置っていうのは流石の審美眼だね。その「現代化」にゲスト参加しているジャック・ホワイトとノラ・ジョーンズが一役買っているのは言うまでもなく、ポップ・ミュージックとしての強度を補っている。特にノラ嬢のいい意味で胡散臭い歌唱には、普段とは違う言いようのない魅力を感じた。またしてもデンジャー・マウス恐るべし。

( 2011 )

[Review] Space Is Only Noise / Nicolas Jaar
2011年 05月 08日 (日) 15:03 | 編集

" Space Is Only Noise " / Nicolas Jaar

 「90年代を通して、ダンス・ミュージックはスピードをあげたかもしれないけど、一方で表現する幅は狭くなった」、「ただエスニックな響きの曲をサンプルして、西洋のビートにくっつけただけの曲は、ほんと音楽として醜悪だよね」(ライナーノーツから引用)。こんな言葉を発する末恐ろしい20歳、ニコラス・ジャー。昨今の早熟な電子音楽家と言えば迷わずJames Blakeが思い浮かぶわけだが、彼もそれに並ぶ才能なのではないかと思う。
 様々な音楽的要素をダイナミックに分解/再構築していくその様は、なるほど00年代以降の新世代の特徴、いや勢いといえるだろうか。決してダンサブルではないエレクトロニック・サウンドにピアノ、ヴォイス・サンプル、ジャズ、アフリカ音楽などをコラージュして形容のしがたい音響空間を作り上げている。その巧みさはいかにも知的で近寄りがたいという印象を持ってしまいそうになるが、全体に渡る歌やエモーショナルな演出のおかげで絶妙にスノッブ感を回避。その結果むしろ無邪気な自由を感じて、ついもう一回もう一回と誘われるように今作を聴いてしまう。また、コラージュ自体が作品へと結実するという意味では近年のPrefuse 73を想起させるところも無いわけではないのだが、今作の方がより退廃的にして耽美。妖しく響くその音像はまるで古いヨーロッパ映画のようで、匂いまで伝わってきそうだ。うーむ、ますます若干20歳ということが信じられない・・・。早くもAphex Twinなどと比較されているようだが、確かに新しい才能に出会ってしまったあの興奮がある。これは是が非でもお勧めしたい傑作。

( 2011 )


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・[Review] James Blake/ James Blake

[Review] Horizontal Structures / Moritz Von Oswald
2011年 04月 04日 (月) 23:21 | 編集

" Horizontal Structures " / Moritz Von Oswald

 Moritz Von Oswald(Basic Channel)、Max Loderbauer (NSI/Sun Electric) And Sasu Ripatti (Vladislav Delay/Luomo)のトリオによる、2ndアルバム。4曲70分超、連番になった曲名、人を食ったようなジャケットなど、とりあえずの「見た目」は前作の延長線上にある。が、今作にはMarc Muellbauer がダブルベース担当として、Paul St Hilaire (Tikiman)がギタリストとして参加しているため、よりバンド感のあるサウンドに。
 即興によって形のない形でまとめ上げられたこの音世界では、様々な音楽的要素がゆっくりとその姿を表す。ミニマル・テクノを根幹としてダブ、ジャズ、アフリカンなど。その厳かさな―もっとはっきり言えば痺れを切らすような―展開はなかなか一筋縄ではいかない難解さがある。そういうわけで今作の全容を把握できるのは、無類のミニマル好きか、余程の集中力を持っている人に限られてしまうに違いない(当然私はどちらにも当てはまっていない)。ただ、一旦理解するということを放棄してこの音に身を委ねてみると、なかなかどうして興味深い音楽になっている。通底音として流れ時に主張するベース、金属的であったりジャケット通り骨を打ち付けるような硬い音のするパーカッション、長いループの先で混沌へ激しく移行する瞬間など、妙に惹きつけられてしまう。これがどう聴こえるか、それはその人の音楽的素養だとか趣向によって左右されるだろうがそれぞれの楽しみ方を見つけられるような気がする。無形で、音楽史が見え隠れし、自由でもある、かなり奇妙な作品。

( 2011 )

[Review] Our Inventions / Lali Puna
2010年 06月 27日 (日) 19:16 | 編集

" Our Inventions " / Lali Puna

 4thアルバム。Valerie Trebeljahrを中心とするドイツのエレクトロニカ・ユニット、Lali Puna。今やMorr Musicの代名詞的な存在となっていて、数多くのエレクトロニカ・アーティストに影響を与えている。そして、今作も彼ららしいインディーロックと電子音を同居させた温かみのあるサウンド、ウィスパー・ヴォイスは健在。音を積みすぎず、過激にならない、耳をなぞるようなこの低温ポップはやはり心地いい。いわゆる生音エレクトロニカをいち早くやっていた人たちなので、安定感は抜群。というか技術的側面だけでエレクトロニカやってた人達はことごとく逆境に立たされていると思うので、そういう意味でも常に正解の道を歩んできたんだなぁと再確認した。過去作よりも比較的ミニマルで静謐になったぶん、音のひとつひとつに集中して味わい楽しむことが出来る。別にいえば、音数が少なくとも聴かせられるという自信が見えるような。全編通して革新的な音や驚きは存在しないが(高橋幸宏をフィーチャーするという結構なトピックはあるけどあくまでも流れの中の一つになっている)、ふとしたときに聴きたくなる好盤。驚きが無いのは恐らくテーマである「テクノロジーに浸水し、発展という強迫観念に消費された現代社会」というものに沿った敢えてのもので、技術的革新ばかりが取りざたされているエレクトロニカのフィールドに警鐘を鳴らしているのかも。

★★★☆ ( 2010 )
[Review] Iron Man 2 / AC/DC
2010年 05月 18日 (火) 06:25 | 編集

" Iron Man 2 " / AC/DC

 長らく食わず嫌いをしていたAC/DCを手にする絶好の機会だったのか、ただ単にアイアンマンを好きになりすぎてジャケ買いをしてしまったのか、このアルバムを手にとってレジに持っていった理由は定かではない。ただ言えるのは、このアルバムを聴けば(アイアンマン風に言えば装着すれば)、今更人に聴けないビッグバンドAC/DCについて一応の理解ができるということである。自分を含めてAC/DCをちゃんと聴いてこなかった人たちにとって、これを聴かねばいつ聴くんだ!?というぐらいの内容になっている。なぜならば、30年以上のキャリアがありながらベスト盤を出してこなかった彼らにとって、初めてのベスト盤と言えるものとなっているからだ。何故それが今回、アイアンマンのサントラという形で許されたのかは分からないが・・・。兎も角、魅力的なリフの応酬、ハイテンションなヴォーカルと「ロックって何なの?」って質問されたら迷い無く差し出すような、ロックの一番プリミティヴな部分を抽出したザ・ロックンロール。はっきり言って演奏的にはワンパターンだし、彼らの後にはもっと複雑で面白みのある人達が沢山いるとは思うが、この境地にたどり着いているバンドは皆無。楽曲が全く古びていないのに加えて、いい意味で大御所感が存在しない現在進行の勢いも感じられる、つまりはスタンダードになっているということなのか。ヘッドフォンで音の隅々まで分析的に聴くのではなく、ひたすらにスピーカーのヴォリュームを上げて聴くのが吉!

( 2010, Soundtrack )
[Review] In Stereo / Fenn O'berg
2010年 05月 11日 (火) 06:06 | 編集

" In Stereo " / Fenn O'berg

 クリスチャン・フェネス、ジム・オルーク、ピーター・レーバーグからなる伝説(らしい)のトリオ、フェノバーグ。8年ぶりの帰還にして、初のスタジオ録音である今作(前作はライブ音源をエディットしたものであった)。しかし、実際に鳴らされている音というのは、スタジオ録音らしい体裁は余り保たれていない。ノイズ、エレクトロニカ的なエフェクト・サウンド、ピアノ、ギター、パーカッションなどが散りばめられつつも全体はアンビエントに進む自由な音像。この余りにも自由な音像はカオティックと言えばカオティックなんだけれども、いわゆるカオティックが連想する狂気だとかそういったものではなくあくまでも子供の無邪気さから来るもののように思える。もっと言えば、極めて独自性の強いアーティストが奏でる音楽であるにも関わらず、結果が誰のものにもなっていないというか。各々が各々に音を付けた足していく、そしてそれが絵になっていくというのは流石ある種の引き際の分かるベテラン同士がなせる業だ。最早巧みの世界と言ってしまっても良いのかもしれない。SF映画のサントラのような、たゆたう海のような、はたまたフェネス/ピタ曰くのピンク・フロイドのようなこの音楽に身を委ねていると現実が歪んでいくような不思議な錯覚を覚える。3人のうち誰かが好きだからといって必ずしも楽しめる作品であるかどうかは分からないが、この自由度はもっと広い受け皿を持っているんじゃないだろうか。

★★★☆ ( 2010 )
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