Deep Impact
音楽全般を扱っています。主に邦楽、洋楽のディスクレビュー。たまに暴走に走ります。
The Opiates Revised / Thomas Feiner & Anywhen
2008年 07月 05日 (土) 15:43 | 編集

" The Opiates Revised " / Thomas Feiner & Anywhen

2001年に発表されたアルバムの再発盤。恐らく、このトーマス・フェイナーという人の情報に
関しては、日本でほとんど知られていないと思うので(かくいう自分も知らなかった)、再発し
た経緯を書いてみよう。スウェーデン出身のトーマス・フェイナーは元々エニーウェンと
いうバンドに在籍しており、1993年にデビューしている。その後セカンドアルバムを発表、そし
てエニーウェンの3rdとして制作されたのがこの"The Opiates"。とはいってもメンバーがどん
どん抜けていって最後はトーマス・フェイナー一人になってしまったそう。エニーウェン時代は
小さな注目を集めていたらしいが、世界的にはまだまだ無名に近かった。しかし、映画『青い
棘』で起用され、デヴィッド・シルヴィアンがこの映画を見てその声に感銘を受けたことから事
態は変わっていく(デヴィッドも凄い声の持ち主だけど)。そして記憶にも新しいのが、去年発
表されたスティーヴ・ジャンセンの初のソロ・アルバムへの参加だろう。そこでも渋みのある素
晴らしいヴォーカル・ワークを披露している。そして漸く、デヴィッド・シルヴィアンのレーベル、
サマディ・サウンドからこのアルバムが再発された、というわけである(アートワークもデヴィッ
ドシルヴィアンが担当)。この才能を再び世に発信したサマディ・サウンドは最大級の賛辞を
送りたい。だってこれは埋もれさせてはいけない作品なのだから。

やはり、まず耳が行くのはその声だろう。トム・ウェイツなどを連想する深く、味わい深い歌声。
低音が良いのは勿論、中高音には独特の艶やかさ、切なさもある。デヴィッド・シルヴィアンや
ルーファス・ウェインライト並みに良い声(分かる人はその意味が分かるでしょ?)。そしてまた、
厭世的で詩的な歌詞や、ソングライティング、アレンジも秀逸。特にアレンジは製作の間に
メンバーの形態が変わっていったこともあって、実に様々。バンドサウンドのアグレッシヴネス
と、ストリングスによる壮大さを兼ね備えた楽曲はおそらくバンド時代からの延長線だろう。これ
がまた素晴らしいわけだが、自分がとりわけグッと来たのは、音数が少ない、トーマス・フェイナ
ーの独白のような楽曲だ。音数が少ないことによって、ヴォーカルの凄まじさが浮き彫りになり
鳥肌必死の楽曲となっている。全体を通して、デカダンスと耽美な世界観を感じさせる、まさに
"The Opiates"。既に中毒化していて、しばらくヘヴィー・ローテーションから離れそうに無い。
ただ、ひとつ気になるのは今後の展開。ちゃんと作ってるのだろうか。絶対届けて欲しい。

★★★★★ ( 2008 )
The Joshua Tree / U2
2008年 02月 12日 (火) 06:47 | 編集
u2_thejoshuatree.jpg
" The Joshua Tree " / U2

U2自身のみではなく、80年代の、ロック史の中で確実に名盤である「ヨシュア・ツリー」。
このアルバムが07年12月、信じられない豪華仕様になってリリースされた。まず、パッケ
ージがすごい。まるでブランド物か高級お菓子のような箱に入って、紙ジャケ化された
2CD+DVD、ブックレット、ポートレートなどファンにはたまらない一品(ポートレートのボノ
がこれがまたカッコいいんだ)。もちろん内容もこれまた豪華でリマスターされたオリジナ
ルアルバムに加え、完全未発表曲を収録したB-SIDE集、ヨシュア・ツリーのツアーを
ほぼフルで収録したDVD(!)の3点セット。これで5000円は絶対安い。

肝心のリマスターの出来だが、音が予想以上にクリアになっていて、特に重低音の響き
が昔のとは全然違う。だが、昔のクリアではない音が逆にこのアルバムの神秘性を演出
していたような気もするので、これは好みの問題かも。個人的にはこっちの方が好み。
で、しばらくこのアルバムをヘヴィロテしていたのだけれど、やっぱり凄いわこれ。ちょっと
書きたくなっちゃったので、リアルタイムではないけれど書きたい(ていうかこのアルバム
がリリースされた年に生まれてるんだけど・・・)。

まず、曲が究極的に素晴らしい、エッジのギターが天才的、この頃のボノのヴォーカルが
ピーク。また、アイルランドの若造バンドから、アメリカを視野に入れ、ルーツ・ミュージック
を取り入れ、ジャケットの荒野のような壮大な世界観を持つアルバム―というようなことは
雑誌でも個人のブログでも散々言われてきたのであまり書きたくない。自分聴いてて思っ
たのは、このアルバムってルーツ的な部分もあるけど、それと同等にテクノロジーを駆使
した部分も多いのではないかということ。全体的にイーノのプロデュースの甲斐か細かな
サウンド・プロダクションか張り巡らされていて、このアルバムを一層際立たせている(実
際にイーノがどんな仕事をしたのかは全く知らないけれどね)。"Where The Streets
Have No Name"や"With Or Without You"のシンセなんかは絶対曲に欠かせない要素
のひとつだし。他の曲でもヘッドフォンをして聴くと結構面白い音が鳴っている。この辺の
音の足し方は結構エレクトロ・ミュージックに繋がるところがあると思うのだけどどうだろう?
でも全体ではルーツの大胆な導入は確かだし、印象ではシンプルに聴こえて、またそれが
良い。何はともあれ、これが名盤であるということに変わりは無い。

付属のDVDも見ごたえ十分。演奏中断のところなんかは普段よりもアドリブが長かったりし
てお得な気分に。で、このアルバムを再評価してしまったら、何とそこまでU2が好きでは
なかった自分が彼らの音楽にドップリ浸かってしまった(笑)前は3枚ぐらいしか持ってな
かったのに今ではオリジナル・アルバム、ライヴDVDコンプリート。まさか今頃になって
U2という超ビッグなバンドにハマるとは思わなかった。やはり王道を馬鹿にしちゃいけない。
ちなみに自分は90年代以降の彼らも大好き。次来日したら是が非でも見たい。

( 1987 )
Hvarf-Heim / Sigur Ros
2007年 12月 09日 (日) 06:15 | 編集
sigurros_hvarfheim.jpg
Hvarf-Heim / Sigur Ros

"Hvarf"と"Heim"と名づけられた2枚組EP。新曲と既存曲のアレンジで構成された全11曲。こう
書き出すと、未発表曲の寄せ集めだとか、ただのB面集だと思いがちかもしれないが、ハッキリ
と言っておきたい。これは「新作」と銘打っても何ら問題の無い素晴らしい作品である(シガーロ
スファンなら間違いなく買いです。持ってないなら《一応試聴して》即購入で)。量的な面(収録1
時間超)はもちろん、質的な点においてもシガー・ロスの持ち味を残しながら、新しい世界観を提示
出来ていて充実している。そして、彼らの成長を耳にすることが出来る。その世界観、成長とは何
なのか、各ディスクのレビューをしながらじっくりと語っていきたい。なお、今作はドキュメンタリー
DVD"Heima"とセットにして鑑賞したいところだが、残念ながらHeimaはまだ手に入れてないので
あしからず(こんなに素晴らしいと思わなかったので買って無かったです。でも多分買います)。

まず"Hvarf"。こちらはエレクトリックと説明されているだけあって、シガー・ロスらしい轟音が響く。
寒々とした厳しい音像の中に美しさ、多彩さがあり聴く者を陶酔させる。また、今までの作品では
突き放すかのような閉塞感で表現されていたのが、"Hvarf"では広がりをもって表現されていて、
彼らの精神面での充実具合が見て取れる。これを聴いていてふと思ったのは、アイスランドの風
景が本当にこの音楽の様なら、実際に足を踏み入れたいと思ってしまうということ。それぐらい素
晴らしく美しい世界がここにはある。なお3曲が新曲、2曲が1stアルバム"Von"のアレンジで構成
されているが、どれも現在のモードになっていて統一感が損なわれていない。そして、書き出すと
つい止まらなくなりそうなぐらい秀逸なアコースティック・ヴァージョンの"Heim"。既存曲のアコー
スティック・ヴァージョンというと最初はギター一本で演奏しているのかとか考えた。だが実際には
もっとバラエティに富んだ音作りになっていて、ピアノやオルガンの音色が甘く響き渡り、歌声が
以前の音源よりも優しく響く。この気合の入れようは、アコースティックでの解釈がどこまで出来る
かかなり限界のラインまで考え抜いたのではなかろうか。でも、それがただの「面白い音」として鳴
っているわけではなく、全体の開放感や安心感へと繋がっていくのが凄い。これらの2枚から感じ
られるのはバンドがバンド名の意味「勝利の薔薇」に近づいたという充実感と、"Takk..."から地続
きの希望が拡大しているだろうということ。あと、シガー・ロスはやっぱ凄いとも再認識させたれた。
最後にもう一度言っておきたい、これは「新作」と思ってもらって構わないぐらい素晴らしいと。

★★★★☆ ( 2007 )
Alive 2007 / Daft Punk
2007年 12月 09日 (日) 04:12 | 編集
daftpunk_alive2007.jpg
" Alive 2007 (ピラミッド大作戦-スペシャル・エディション-) " / Daft Punk

去年のサマソニを体験した者なら既に「伝説」と化しているダフト・パンクのライヴ。そしてこれを
書いている今もダフト・パンク来日公演の真っ最中。多くの人が伝説を目の当たりにしているはず
(かくいう自分も12/9に参戦)。何が伝説かといえば、非常に巧みな、もっと言えば極めてえげつ
ないミックス、そして目にした人の度肝を抜く光るピラミッドステージのダブル攻撃。サマソニでは
この上ない多幸感につつまれて、まさにロボットが人間を宇宙船でさらってしまうが如く客を踊り狂
わしていた。実際には踊るスペースはあまりなかったけど・・・。せめて音源だけでもということで発
表された今作(音源はネットに沢山アップされていたけど、公式音源は漸くといった感じなので非常
に嬉しい)。「dafunkfest」の予習用としてはもちろん、一作品としても優れている。何年か前にリリ
ースされたベスト盤よりこっちの方がベスト盤なんじゃないか?っていうぐらいギューギューに詰ま
った代表曲。しかも繋ぎ方が最早反則と言っても良い、これで体が動き出さない訳無し。身も蓋も
無いことを言ってしまえば、オリジナル盤よりも優れているんじゃないかっていう。特に"Around
The World / Harder Better Faster Stronger","One More Time / Aerodynamic"辺りは単体
でもクラブ・ミュージック全体での代表曲なのに、こんないじくり方をされては降参するしかないじゃ
ないか!と言いたくなる。最近、邦洋含めてダフト・パンクの子孫みたいな人達が沢山要るけどや
はり本家には敵わないのだなぁと実感してしまった。既にヘヴィロテ中だけど、実際に彼らを見てき
たらもっと再生頻度が上がることは確実。でも不満がひとつある・・・・・いいからDVDも出せ!!

( 2007 )
Vexille - The Soundtrack
2007年 08月 20日 (月) 01:06 | 編集
vexille_thesoundtrack.jpg
" Vexille - The Soundtrack " / Various Artists

8/18に劇場公開された「ベクシル 2077 日本鎖国」。フル3Dアニメーションという技法と「日本鎖
国」という興味をそそるタイトルで以前から話題になっていた映画。映画自体も話題になってた
けど、サントラも凄く話題になってたんです!だって鬼のように豪華&ほとんど書き下ろしという
反則的なサントラなんだもん。というわけで全曲レビュー。

Cendre / Fennesz + Sakamoto
2007年 04月 11日 (水) 22:36 | 編集
fenneszsakamoto_cendre.jpg
" Cendre " / Fennesz + Sakamoto

人形に魂を宿すが如く、電子音に感情や人間的な要素を表現した傑作"Endless Summer"
で一躍脚光を浴びたウィーンのエレクトロニカ・アーティスト、フェネス。そして日本人なら知ら
ぬものは居ない坂本龍一(本当に彼の音楽が広く知られているのかは疑問だけれど)。この二
人が長い年月を経てコラボレーションして生み出された"Cendre"。制作はインターネット上での
データ交換を通して行われたそうだ。その辺に人の日記や手紙を勝手に見てしまうような悪戯な
好奇心を煽られる感じがするのだけれど、どうだろう。どうでも良いですかそうですか。さてこの
作品、教授自身「ロマンティックな作品」と語る通り非常に感情豊かな作品である。

基本的にはフェネスの作ったトラックに、教授のピアノが乗るというシンプルなスタイルで進んで
いく。川の音、風の音、葉の擦れる音、石がぶつかる音などが所詮雑音だけど心地良く響くのと
同じように、フェネスの作ったノイジーで繊細なトラックも心地良い。その美しさ・雄大さには自然
と一体化するような感覚さえ覚える。その未開の地に新しい足音を付けていくような、うとうとして
いるときに覚醒するような、印象的な教授のピアノも素晴らしい。しかもそれらが互いに干渉しす
ぎることなく、絶妙のバランス感覚で成り立っているというのは、やはり才能あるもの同士から生
み出されたものということだろう。年代も国籍が違うのにここまで相性が良いっていうのは珍しい
し、面白い(だからこそ長年共作をしているのだろうけど)。今更、電子音が無機質で無感情的な
ものという考え方の人はあまり居ないだろうけど、やっぱり電子音でここまで感情的なものを作
るって言うのは改めて凄いことなんじゃなかろうか。この作品を聴いていたら、そんなことを考え
てしまった。この手の音楽を聴くきっかけにもお薦め。

★★★★ ( 2007 )
A Posteriori / Enigma
2006年 10月 13日 (金) 09:55 | 編集
A Posteriori
" A Posteriori " / Enigma

6thアルバム。音楽に限らず映画でも漫画でも何でも良いが、一目見ただけ(または一聴して)
でその人の作品だと分かるというのは理屈抜きに素晴らしいことだと思う。それはつまり独自性
の確立によって他の追随を許さない、いわゆる唯一無二の領域に入った人達のことであるが、
彼らの作品というのは世間の評価やシーンとは関係なく自分の胸を打つし燦然と輝きを放って
いる。このエニグマというアーティストもまさにそれに属している。エニグマはルーマニア出身の
マイケル・クレトゥによるソロ・プロジェクト。グレゴリオ聖歌とダンスビートの融合で存在を知らし
めたわけだが、ロック的なギター、民族楽器、オペラ、そして最近ではアンビエントまで導入する
意外と多様な音楽性である。でも彼の作品から感じる匂いというのは絶対に変わらない。それ
は何故かといえば表現しようとしていることが実は変わらないからではないんだろうか。

だが彼が表現していること、つまりエニグマの核のようなものはいくら彼の作品を聴いても分かる
気がしない。というか、今作を聴いて「一生理解できない」ということに確信を持った。エニグマは
永遠の漂流者である。音楽的な根を持たず、一度作ってきたものを破壊しては、それを再構築し
て匂いだけを残す。それが時には崇高な過去へ、前作では世界へ、グルグル回って今作ではと
うとう宇宙へ(いずれも非日常というのが素晴らしい)。一曲目の「地球」のダンスビートの中で我
々は中心の無い宇宙へ放り出され、振り回される小惑星のように思考する間もないままアンビエ
ントの闇へ。次に光を見るのは最終曲" Goodbye Milky Way "。これがまた信じられないぐらい
素晴らしい曲で、銀河の煌きというか、宇宙の誕生というかそんな感じの曲である。ヒーリングミュ
ージックと呼ぶには重過ぎる、プログレッシヴと呼ぶには土着的過ぎる、だが何ともいえない魅
力を放つまさにエニグマ<謎>と呼ぶべきアーティスト。アートワークも秀逸。

★★★★☆ ( 2006 )
So Far / Rasmus Faber
2006年 07月 18日 (火) 00:11 | 編集
So Far
" So Far " / Rasmus Faber

Rasmus Faber はスウェーデンはストックホルム出身のハウス・プロデューサー。2003年にリリ
ースされた"Ever After"でハウス好き以外にも大きくアピールし、現在注目度上昇中。"So Far"
はそんな彼の4年間の活動をまとめたベスト盤(日本企画盤)。今作を聴いた人なら誰でもこの
言葉を口にするだろう・・・「オシャレ!」「キモチイイ!」と。もう笑っちゃうぐらいの完成度である。
全体に流れるのはフロア直下型のブラジリアン・ハウスながらも、乗せられるメロディーはこの上
なくスウィート。「えぇ!?ここでそのメロディが来るの?完全に反則技だよ!」となること請け合い
である。それでも、決して陳腐なものにならないのは、ジャズ、ボサノヴァを自然に取り込む音楽的
センスと、コアとマスの中間の綱渡りに成功する絶対的なバランス感覚があってこそ。どんな人
なのだろうとプロフィールを調べてみれば、なんと26歳(しかも金髪イケメン)。とはいっても、幼少
の頃からピアノを習い、10代にはジャズピアニストとして活動していたそうなので納得。このアルバ
ムは確実にいろんな人にアピールし得る、というかしなきゃまずい。フロアでかけても、家でかけて
も、車でかけても、お店で流れてても見事にハマるどこまでも開かれたアルバム。

★★★☆ ( 2006 )
Mew / And The Glass Handed Kites
2005年 10月 31日 (月) 18:53 | 編集
mew_andtheglasshandedkites.jpg
Mew / And The Glass Handed Kites

ジャケに全てが表れている

2ndアルバム。今思えば、この変化は当たり前なのかもしれない。前作でも曲展開が複雑な
曲はあったし、何よりもこのバンドは他の新人バンドよりもはるかに挑戦的だった( ライヴでは
抽象的な映像をひたすら流していたしね )。とは言ってみたもののやっぱりこの変化には驚い
た。おどろおどろしい曲展開&前作以上の轟音ギターと天使のようなヨーナスの歌声のコント
ラストが独特の暗黒世界を生み出している。というか悪夢か。悪夢と書いて分かったけどこの
バンドは一貫して「夢」を描いている。前作が夢見心地の夢、そして今作が悪夢の夢だ。

第一印象として、驚いた、なんとも分かりづらいなんて思っていたけど、本当はすごくはっきりと
したアルバムだと思う。なぜなら、前作以上に闇と光の対比を描き切っているからだ。実際、そ
の構成要素は前作よりもバッキバキでクリアである。しかし、対比を描くため、それらが水面に小
石を投げるがごとくいくつもの波紋を生み出し、ブクブクと肥大化させ壮大な世界観を作り出して
いく。そのため、なんとなく前作よりもとっつきにくい印象を与えるが、構成要素ははっきりしている
分、しっかりとハートにはグサリと突き刺さっていく。そこに表現者としての彼らの飛躍を感じる。人
間って不思議だ。悪夢を目の前に突きつけられて、感動してしまうんだから。それが希望なのかな。

★★★★ ( 2005 )
Sigur Ros / Takk...
2005年 09月 18日 (日) 23:15 | 編集
sigurros_takk.jpg
Sigur Ros / Takk...

ありがとう、と言えること

4thアルバム。Bjork , Mum らと共に Iceland を代表するバンド Sigur Ros。前作
「 ( ) 」はアルバムタイトル、そして全曲無題という未だかつて無いような方法でリスナー
に聴き方を任せたアルバムだった。閉じてはいないんだけど荘厳で重々しい、 「真っ白」
で、現実なんだか違う世界なんだかわからないけど、ただただ美しい、そういうアルバム
だった。しかし、今作「 Takk... 」は確実に現実を描いている。確かに今作も「 神秘的 」な
サウンドではあるが、前作のように掴みどころの無い世界観ではなく、確実に突き刺さっ
てくるものがある。それが「明るくなった」、「ポップになった」ということなのだろう。

今作の先行シングル「 Glosoli 」を聴いたとき、本当に泣きそうになった。何故だろう、絶景
を見るかの如く、音のあまり凄さに感動したのか、などと色々考えていたら、タイトルにその
答えはあって拍子抜けしてしまった。「 Takk 」とは日本語で「ありがとう」という意味。「あり
がとう」とは相手を肯定することである。それはつまり、生命を肯定することである。色々な
現実を見て、そして生命を「ありがとう」と肯定できるという姿勢、それを発する音楽を奏でて
いるから感動的だし、ここまでの幸福感が出ているんだろう。さあ、明日もがんばって生きよう。

★★★★☆ ( 2005 )
copyright (C) Deep Impact all rights reserved.
designed by polepole...