Deep Impact
音楽全般を扱っています。主に邦楽、洋楽のディスクレビュー。たまに暴走に走ります。
スポンサーサイト
--年 --月 --日 (--) --:-- | 編集
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[Review] Mind Travel / Superfly
2011年 07月 17日 (日) 22:59 | 編集

" Mind Travel " / Superfly

 60、70年代洋楽という趣味性を盛り込みながらもスタンダードな邦楽として受け入れられた1st、サウンドの強靭さを増してより現代的により大衆的に振り切った2ndと、新人のあるべき道筋を辿ってきた彼ら。そして、勝負の3作目。結果から言えば、大衆の望むスーパーフライ像から大きく離れることがない安心の一枚と同時に停滞の一枚かと。彼らのつくる職人的な、バランス感あるサウンドと越智志帆のハイトーンヴォイスは(祝福をというだけあって)確かに心地良い。しかし、そのあまりにも既聴感たっぷりの楽曲にはさすがに飽きがくる。正直冒頭のアップテンポな楽曲は過去の焼き直しで、なおかつの"マニフェスト"や"Alright!!"には遠く及ばない凡庸なものとなってしまっているかと。またそれらの楽曲でみられる一本調子な歌声にもそろそろ変化が欲しいところ。ただ"Eyes On Me"や"Secret Garden"などにみられる落ち着きは以前には無い魅力で、アレンジとメロディー、歌声が丁寧に組み合わされていくその様にはさすが職人技と舌を巻いた。他にはツェッペリンにオマージュを捧げているというかまんまの"Deep-sea Fish Orchestra"、言いようのない感情をそのまま歌詞無しで曝け出した賛美歌"Ah"(図らずとも世の中のムードをとてもよく表している)も良い。制作の体制としては盤石なものがあるのでポップスとしては申し分ないクオリティなのは間違いないが、もっと趣味性を前面に押し出してほしかったのが正直なところ。極めてマイノリティーな意見なのかもしれないけれども。

( 2011 )

スポンサーサイト
[Review] TADZIO / TADZIO
2011年 06月 13日 (月) 00:42 | 編集

" TADZIO " / TADZIO

 仙台発、リーダー(VO.G)、部長(DS.VO)から成るガールズ・オルタナ・デュオ、TADZIO。活動開始は2010年、その活動歴の浅さがかえって得体の知れない自信となって牙を剥く。全11曲29分、全て一発録り。ハードコア、ガレージ、グランジを骨格に据えながら、突如噴出するようなフィードバック・ノイズ、毒舌な歌詞、頼りなくもポップな歌の掛け合いが絡み合って脳よりも先に体にクル。「ブス」「キレイ」とリズミカルに展開しながら「ビーストマスター」と必殺技でも唱えるかのように頂点を迎えるというツボを押さえた"Beast Master"、投げやりな厭世観と疾走感のあるギターがかなりグランジ的な"Belgium"、「お・前・の 脳みそどこだー!!」と叫び跳ねるようなリフが暴れる"NOmiso"など、勢いとセンスで突き抜ける感覚が詰め込まれている。この予測不可能な感じはあふりらんぽ、にせんねんもんだい、そしてもしかしたら神聖かまってちゃんなどと比較されるだろうが、それらのバンドとの決定的な違いは彼女たちの「冷めてる」佇まいにある。前述したバンドが音楽を以ってでしか自己表現できないような熱量を感じるのに比べ、メディア曰くなんとなく結成されたTADZIOは別に音楽でなくともいいかもといったようなクールさを持っているように思える。それがキュートなルックスから来ているのか、無意識なのか意識的なのかはわからないが、この突き放し具合にグッと来てしまうのだ(個人的には男として抗えないと思うのだがどうだろう)。またその辺がThe Killsを思い起こさせなくもなく、日本でもやっとこういうバンドが出てきたのかとも興奮したり。今後さらに厭世的なロックバラードを歌っても似合うと思うし、意外とエレクトロニクスとの相性もいいかもしれない。とにかく身勝手に色々と期待してしまうほど素晴らしい。

( 2011 )

[Review] The Apples / 吉井和哉
2011年 04月 27日 (水) 23:01 | 編集

" The Apples " / 吉井和哉

 6thアルバム。シーンと直接的な関係を持たない独自の物語を展開するが故に毎度目を離さずにはいられない吉井さん。前作では長年のもがきを経て「アメリカで本当のロックが鳴っちゃったんだよ」と求めていたロック像を鳴らして見せたわけだが、ここへきてソロアルバムの極致ともいうべきルーツを色濃く反映させた作品を作ってきた。いやむしろここにはルーツしかないというべきか、影響を受けたものしかアウトプットしてないというべきか。演奏も一部のプログラミングやストリングス以外ほぼすべて本人によって行われており、楽曲にはまるで鼻歌がそのまま完成形に至ってしまったが如く自然さがある。とはいえ流石の引き出しの多さ、音楽的にはバラエティ豊かだ。要所要所でビートルズの匂いを感じさせながら、"ACIDWOMAN"ではグラム・ロック、"VS"ではディスコ、"プリーズプリーズプリーズ"では60's、"HIGH & LOW"ではカントリーまでもが出てくる。それが独特の歌謡曲的な妖艶さ、湿っぽさと相まって、なんとも吉井流ロックとしか言いようのないものが出来上がるんだなぁ。包み隠しがないという意味では"おじぎ草"なんかも魅力的で、この色気と熱量は彼にしか表現できない「これぞ!」と唸ってしまうような楽曲。他にもメロディーと言葉が力強いシングル"LOVE & PEACE"、"SO YOUNG"を髣髴とさせる"FLOWER"(個人的にはオアシスの"Champagne Supernova"を思い出したり)のようなクライマックスもあり全体のバランスは素晴らしく良い。正直過去作には冗長な印象を持ったこともあったが、今作はその風通しの良さもあってサラッと聴き通せてしまう。今作にはソロ1作目"at the BLACK HOLE"へのリベンジという意味も含まれているらしいが、それは見事達成されているのではないだろうか。

( 2011 )

-関連記事-
[Review] COMPLETE SICKS / The Yellow Monkey
[Review] VOLT / 吉井和哉
[Review] Hummingbird in Forest of Space / 吉井和哉

[Review] STAR / RIP SLYME
2011年 03月 21日 (月) 00:49 | 編集

" STAR " / RIP SLYME

 1年9ヶ月ぶり、10周年&ベストアルバムを挟んでの8thアルバム。順調なペースでリリースしている彼らだが、ここ数作の彼らは内容的にも充実をみせている。「やりたいようにやる」と決めた段階でヒップホップ然としなければならないという足枷が解かれ、より軽やかに、より自由に。まるで大人の夏休みかのような気負わなさを体現する。今回は5人で作るということをテーマに制作されたようで(タイトルは5点を結ぶと星になるという意)、客演ほぼなし、シングルなし、そのやりたい放題さに拍車がかかっている。
 4つ打ちでなかなか本格的なエレクトロ"The Beat Goes On"からスタートして、ホーンなどが響き90年代ヒップホップを連想させる"Don't Panic"へ。"TOKYO STOMP"も現代的なヒップホップトラックとなっているが、足枷が外れたことによって逆にこういう曲をのびのびと表現出来るのかもしれない。他にもスペイシーなシンセが浮遊感を醸す"センス・オブ・ワンダー"や、民族的なエレクトロニカ・サウンドが響きながらもビートが強靭で、かつ可愛げな音使いまで飛び出しDJ FUMIYAの天才ぶりを見せつける"フォーチュン・クッキー"など聴きどころは多数。そして、"Clap Your Hands"と"○×△□"という破壊力たっぷりの流れも。両者ともSUが深ーく絡んでいて、酔っ払って作ったのかと思うほどぶっ飛んでいる。特に前者はリリックが本気で意味不明で、「リリックに意味が無い」といわれ続けてきた彼らの曲の中でも意図的に意味性を放棄した迷曲。こんなものでも楽しければ収録してしまう空気感と、良い意味で何が出てくるか分からない幅広さは彼らならでは。コンセプトが良いアウトプットに結びついた楽しい一枚。

- 関連記事 -
[Review] " GOOD TIMES " / RIP SLYME
[Review] " JOURNEY " / RIP SLYME
[Review] " FUNFAIR " / RIP SLYME

[Review] ライフイズビューティフル / Plingmin
2010年 12月 21日 (火) 23:01 | 編集

" ライフイズビューティフル " / Plingmin

2ndアルバム。ネットでも話題になってないし、インタビューすらろくに見つからないと思っていたらメジャーとの契約を終えていたのね。自主レーベル「BEGINNING Jr. RECORDS」を立ち上げ、今作へと至ったということだそうな。メンバーチェンジなどもあり、なかなか試練の時であったらしく、それが今作にも色濃く表れている。セルフプロデュース&一発録りで制作された今作は、前作に存在していた天然さは鳴りをひそめ、シリアスかつ力強いロックサウンドが全体を支配している。あくまでも前進を示す"ライフイズビューティフル"、シューゲイザーからの影響をみせる"リアル"などはアルバムの世界観を凝縮している良曲だ。他にも英語詞であくまでもクールに徹する"Lose you"、ちょっとくるり的メロディな"足跡"などのちょっと本筋からはハズした楽曲もあり、引出しの多さを感じさせる。ただ、1stではっちゃけていたバンドが2nd以降でシリアスになるなんてことは往々にしてあるわけで。今後はこの路線よりももっと音楽的に冒険してかつ天然ボケを発揮した作品を期待したい。引き出しを持っていながら、ほわーんと表現してしまうこのバンドの最大の魅力なのだから。今作は轍として必要だった一枚ということで。

★★★ ( 2010 )

- 関連記事 -
[Review] "プリングミン "
[Review] MIXTURE / Dragon Ash
2010年 12月 16日 (木) 19:54 | 編集

" MIXTURE " / Dragon Ash

 9thアルバム。ここ最近の降谷建志はライブのたびに「ミクスチャーロックは好きですか?」と叫んでいる。ラップメタルと共に国内で隆盛を極めたこのジャンルは911以降あっという間に衰退し、彼の言うところの「絶滅危惧種」となった。だからこそカウンターとして叫ぶのであり、その集大成としてこのアルバムがある。ロックの復権、ラウドな音楽を響かせたいという骨太な意思と、ラテン、エレクトロニカを通過して培った卓越した演奏技術という繊細さを以って鳴らされる全12曲。ここでは所謂ミクスチャーロックの方程式―ラップ、跳ねるリフを多用しながらエモーショナルなサビへと展開する―がかなり分かりやすい形で表現されていて、リズムなどはかなり複雑であるにも関わらず聴き苦しさは全くない。ドラゴンアッシュを昔好んで聴いていた人、エネルギーが溢れて止まない若い人には十分に訴求する内容と言えるのではないだろうか。
 が、しかし一方で今作のマッチョさに辟易してしまうのも事実だ。ロックこそ善とするような一面的な態度は実はドラゴンアッシュとしては異例とさえ言えて(彼らの作品史上一番マッチョだと思われる"LILY OF DA VALLEY"でさえ"静かな日々の階段を"、"Lily of da Valley"、"花言葉"という中性的な楽曲があった)。それが幼稚さであったり、底の浅さに繋がっているように思えていまいち乗り切れない。あれもこれも好きだから入れてみた、それが結果としてロックとして鳴れば良いっていうスタンスが進化を促していたんじゃないの?降谷建志はバンドに対して求められていること/やりたいことが俯瞰で見えすぎていて、バンドで出来ることを単純化しすぎているのではないかと。もっと音楽的に遊んでも良いと思う。それともう一つ、リズム以外はごくごく一般的な音(過去のミクスチャーロック)の要素をなぞっているだけで面白みがない印象がある。例えばギターのリフなどは散々聴いてきたような類のものであるし、そのサウンドも凝っているとは言い難くのっぺりとしている。まあこの点に関しては敢えて分かりやすくすることで間口の広さを取ったのかもしれないが、このマンネリ感ではロックの復権は程遠いだろうなぁ。個人的には"FREEDOM"と2作つづけてガッカリで、そろそろこのバンドに対して見切りを付け始めてしまっている・・・。

★★★

- 関連記事 -
・[Review] SPIRIT OF PROGRESS E.P.
[Review] AMBITIOUS
[Review] FREEDOM

[Review] SENSE / Mr.Children
2010年 12月 04日 (土) 01:19 | 編集

" SENSE " / Mr.Children

 2年ぶり、初のシングルリリース無しとなる15thアルバム。個人的なミスチル観としては"深海"がベストで次点が"Q"、"DISCOVERY"、最近の作品はほぼ横ばいでそれなりに聴き続けていて。そこまで熱心なミスチルリスナーとは言えない私であるが、今回のアルバムは先に挙げたような作品の匂いのようなものを感じてなかなかのファーストインパクトがあった。内省的なナンバーが立て続けに続く冒頭や、それでもなお"fanfare"のようなポップなクライマックスを用意してくるあたりなど(耽美な"ロザリータ"、ミニマルな"蒼"からの流れっていうのが良いんだよなー。おかげでこの曲の過剰さが好きになってしまった)。そもそも「もう いいでしょう!?これで終わりにしよう」という曲から始まり、「Forever そんな甘いフレーズをまだ信じていたいんだよ」で終わるこの多面性というか矛盾がいかにも彼ららしいじゃないか。そんなわけで最初はこれは現代の"深海"かもしれない!なんて興奮していたわけだけど、聴き重ねるうちに興奮は下降線を辿ってしまった。その一番の原因は、あまりにも肉迫とした表現に欠けることだ。近年の彼ららしい詰め込みすぎなアレンジが今作でも満載で、せっかくの良いメロディーや歌に集中をさせてくれない。それだけではなく、ストリングスやブラス、キーボードが職業的に響きすぎてサウンド自体がプラスチックのような無機質ささえ放っているように思える。"365日"や"Prelude"といった楽曲はもっとシンプルなアレンジの方がグッと来るような気がするのだけどなぁ。何よりギターやベースなんて必要最小限しか鳴ってないわけで、バンドとしてこれでアリなのかと勘ぐってしまう。今回のアルバムで自分達の音楽を再定義したいという思いも少なからずあったと思うのだけれど、なんとも中途半端に着地してしまったという印象が拭えない。

★★★ ( 2010 )

- 関連ページ -
・[Review] " SUPERMARKET FANTASY "
・[Review] "HOME"

[Review] Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2 / 宇多田ヒカル
2010年 11月 23日 (火) 23:39 | 編集

" Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2 " / 宇多田ヒカル

 2010年いっぱいで音楽活動を休止し、「人間活動」へと専念する宇多田ヒカルの休止前打ち上げ花火的なベスト・アルバム。前ベスト盤である"SINGLE COLLECTION VOL.1"の続編という意味合いもある。Disc1では13thシングル"誰かの願いが叶うころ"~21thシングル"Prisoner Of Love" + エヴァ破主題歌"Beautiful World -PLANiTb Acoustica Remix-"が収録され、Disc2では大盤振る舞いで新曲を5曲も収録。(レコード会社の策略が背後にあるであろう)ベスト盤はベスト盤なんだけれども、ある程度リスナーに目を向けているのかと。彼女曰く「誠意ある作品」だそうな。
 前にも書いたことだけど、彼女の最大の魅力は何かといえば「切なさを独特の言い回しで、モンスター級のメロディーセンスとアレンジによって超高性能なポップスに仕上げていること」。それは今も昔も変わらず、勿論今作でもたっぷりと味わうことが出来る。むしろシングルを集めているからこそ、ポップネスと切なさとのコントラストは強い。では逆にVol.1との違いはというと、前述した「アレンジ」の部分、もっと広義で言えば音楽性の変化だ。Vol.1では所謂R&B調のビートが強く歌唱を引き立たせるような音楽が目立っていたが、Vol.2ではエレクトロニカやアンビエントからの影響を色濃く反映させトラックと一体に歌があるという音楽になった。もう少し詳しく言えば、"Passion"や"This Is Love"などの実験を重ねた結果、"Heart Station"というエレクトロニカ/アンビエントをJ-POPへ落とし込む=他の追随を許さない地平へと辿り着いたと言えるだろう(その文脈故に曲順は時系列の方が合っていると思うんだよなぁ)。それともう一つ、今作を聴いて心底凄いと再確認したのはそのコーラスワークの独特さ。多くの楽曲でコーラスが多層的に組み合わされているのだけど、それが絶妙すぎて聴き心地が滑らかなのだ。しかもよく聴くと歌メロと合ってなさそうだったり、極端に暗いメロディーだったりして、楽曲の奥深さをプラスさせている。というか病み付きになる不気味さを内包していると言ったほうが正しいだろうか。
 そして新曲も良い。PVも制作された"Goodbye Happiness"なんて泣きそうになるぐらい切なさ爆発だし、"Show Me Love (Not A Dream) "、"Hymne à l'amour 〜愛のアンセム〜 "は新しい彼女を見せてくれるし、"嵐の女神"、"Can't Wait 'Til Christmas"はシンプルなアレンジが切迫とした表現を引き出しているし。休止するなんて勿体無いと思えるほど。しかし暫しの別れ、また会える時を楽しみに待ちながら彼女が歩んできた大きな大きな足跡を反芻しよう。

( 2010, Best Of )

-関連記事-
[Review] "Heart Station"
[Review] "ULTRA BLUE"

[Review] SEVEN IDIOTS / world’s end girlfriend
2010年 10月 11日 (月) 18:44 | 編集

SEVEN IDIOTS / world’s end girlfriend

 前作から3年半ぶりの6thアルバム。前作との間にリリースされた「空気人形」のサントラを聴いたとき、今後WEGの作品は柔らかく進化していくのだろうとなんとなく思っていた。が、今作はそんな予想を遥か超えたところで鳴っている。やはりサントラとオリジナルは違うものだということを突きつけられ、口があんぐりとするようだ。久しぶりにぶっ飛んだ驚きの音世界がここにはある。
 まず、今作の特徴を決定付けているのがその制作方法。サビのある歌モノを制作→ヴォーカル・パートを完全に消去→それを分解・再構築という形で作られたことで、突拍子の無さが増幅されている。ストリングスが美しく響いたと思ったら、ブレイク・ビーツで切り刻まれたり、ホーンが鳴ったりと次に何が来るのか分からない。しかもそれが単なる繋ぎとしてではなく緻密に重ね合わせた結果として渾然一体として鳴らされるので、多分に音楽的興奮に満ちている。そして今作のもうひとつの大きな特徴の一つがギター・サウンドの導入。このギター・サウンドがただ単に音が一つ追加されたというものに留まっていなくて。「次元を一つ足したら四次元になりました」というぐらい楽曲をドラスティックに変えるものとして機能すると同時に、音の素材を分かりやすくするという効果まで果たしている。曲名も"Teen Age Ziggy"や"Helter Skelter Cha-Cha-Cha"など往年のロックを想起させるものとなっており、かなり意識的にそういったものを導入したことが伺える(しかし後半ではそういったものから既に離れているあたり悪戯心が見える)。
 過去最高に音の素材自体はポップ・ミュージックに接近しつつも、アウトプットは豪快で実験的で恐ろしい。従来のファンタジーに、ビッグバンばりのダイナミックさ/悪魔のような攪乱を併せ持つ一大叙事詩。WEG、またもや大傑作。

★★★★★ ( 2010 )


- 関連記事 -
"空気人形 O.S.T."レビュー
前作"Hurtbreak Wonderland"レビュー
[Review] GOOD TIMES / RIP SLYME
2010年 08月 18日 (水) 22:19 | 編集

" GOOD TIMES " / RIP SLYME

 2005年の"グッジョブ! "に続く、ベストアルバム。リップ・スライムももう10周年ということで、新曲を交えつつ彼らの10年間を総括した内容になっている。2001~2007年をEARLY TIMES、2007~2010年をMODERN TIMESとする2枚組。
 EARLY TIMESとMODERN TIMESを比べてみると大きな違いは、やはりDJ FUMIYAの立ち位置か。まず、EARLY TIMESは4MCのラップも当然素晴らしいのだが、それ以上にDJ FUMIYAのトラックが主張している。ヒップ・ホップはもちろん、ファンク、ドラムンベース、ボサノヴァまで網羅した緻密で大胆なトラックはそれだけで聴き応えがあり、音楽的に面白い。FUMIYAの存在がグループを和製ファーサイド及び日本語ラップシーンという狭いところから脱却させ、ポップフィールドへと押し上げたと言っても過言ではないだろう。革新的でかつ聴き易く流行に流行った楽曲を聴いていると、彼らの功績がいかに大きいものだったか再認識させられる。しかし、FUMIYAが体調を崩し流れは大きく変わってくる。そして、MODERN TIMES。FUMIYAが主導権を握っているのは変わりないのだが、他のメンバーが彼を補うかのようにトラックを持ち寄り、集合体としてやりたいことを好きなようにやっているように思える。ここにはヒップ・ホップ然としなければならないというルールからも解き放れた開放感さえ漂っていて、良い感じに力の抜けた「大人の夏休み」かのようだ。それは"BEAUTY FOCUS"(ILMARI監督)や"マタ逢ウ日マデ2010 ~冨田流~"のPVにも表れていて、楽しそうだなーという羨ましささえ感じてしまうほど。
 ベストとはいえあまりの充実ぶりに、全32曲あっという間に聴けてしまう。「これでいいのだ!」というぐらい、自信の選曲になっているのではないだろうか。そしてこれからも負けず劣らずと、「マジやばいくらい いいぜ」っていう音楽を届けて欲しいと願う。

( 2010, Best Of )


- 関連記事 -
[Review] "JOURNEY"
[Live Report] DANCE FLOOR MASSIVE III ( 2008.11.13 )
copyright (C) Deep Impact all rights reserved.
designed by polepole...

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。