2011年
06月
19日
(日)
23:50 |
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" Music from Spider-Man Turn Off the Dark "
ナードがスーパーヒーローになるということでキック・アスと共に非常に親近感の湧くスパイダーマン。私は主に映画でのその姿に興奮してきたわけだが、今度はブロードウェイのミュージカルになって還ってきた(事故やら何やらで災難続きだったみたいが)。そしてその音楽を担当するのはU2のBonoとThe Edge。プロデューサーには馴染みのSteve Lillywhiteを起用して、テーマ曲"Boy Falls From the Sky"にはAdamとLarryも参加している模様。U2の新作がいつ出るか分からなくなってしまった今、これは聴いておかなくては!と思った次第である。
ミュージカルということもあってか一般的なサウンドトラックのような映像がついてこそ成立するような余白というよりは、歌あり、サビありのポップ・ミュージックとしての形式をとっている。所謂ストリングスが綺麗に響くのではなく、ギターがかなり主張していて、のっけからエッジの「あのギター」を聴くことが出来る。"Rise Above 1"ではちゃっかりボノが歌っていたりしているし。直球なロックサウンドと、スパイダーマン役のReeve Carneyの歌声が若干ボノに似ていることもあって、80年代の生真面目一直線だったU2を思い起こさせる瞬間もあったり。U2自身にそのような姿勢は期待していていないし、むしろその後が真骨頂とすら思っているけど、今こういうのが聴けるということにレア感があるという意味では非常に興味深く味わえた。Passengersと聞いてピンとくるような人にはおすすめ。
( 2011 , Soundtrack )
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2010年
12月
20日
(月)
20:31 |
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" Tron Legacy " / Daft Punk
映画「トロン・レガシー」のサウンドトラック。この映画にダフト・パンクが起用されると知ったとき、そのハマリ具合というかあまりの違和感の無さに納得した覚えがある。「トロン」が発するレトロフューチャー感は彼らの世界観と共鳴するところであるし、彼らが2007年に行ったライブdafunkfestでもトロンを彷彿とさせる演出があったりしたし(そもそもデザイン自体がSF)。実際、映画にも彼らはDJ役としてカメオ出演してまるでバーチャル世界の住人かのようだったが、音楽の方も映像表現との高いレベルでの調和が図られている。
主にオーケストラを用い高揚感と緊張感を高めながら、時折独自の色=レトロフューチャー感を出していく。王道/大作映画らしい体裁とSF映画ならではの電子音楽の要素が混在する、実に正しい仕事と言えるだろう。彼らにオーケストラの楽曲をも作れてしまう才能があったことには驚きを隠せない。しかし、そのそつの無さに音楽的な面白みが欠けているという声もあるだろう。だが、この手のサウンドトラックの中では最大限に個性というものを落とし込めている方ではないかと思う。独特のエレクトロ・サウンドが鳴る"The Grid"、"Derezzed"、"Tron Legacy (End Titles)"辺りは「ダフト・パンクのニュートラック」として十分に聴きごたえのある楽曲となっているし、中盤の"Arena"~"Rinzler"、そして"Solar Sailer"は生音と電子音の重なり方にセンスがあって素晴らしいし。今作は、例えばヴァンゲリスの「ブレード・ランナー」のように音楽単体としても傑作という地平には達していないのかもしれないが、映像と音楽の相乗効果という意味では良い所に着地しているのではないかと。今作での経験が個人名義にどう還元されていくか、それが今から楽しみだ。
( 2010, Soundtrack )
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・00年代ベストアルバム
・[Live Report] dafunkfest ( 2007.12.09 )
・[Review] " Alive 2007 "
2010年
10月
21日
(木)
23:16 |
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" The Social Network " / Trent Reznor And Atticus Ross
ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーと近年のNIN作品プロデューサーであるアティカス・ロスによるデヴィッド・フィンチャー監督作品「ソーシャル・ネットワーク」のサウンドトラック。デヴィッド・フィンチャーといえば個人的には未だに好きになれない監督の一人なのだが・・・持ち前の色を抑えた画とトレントの音楽が相性が良いのは、かの有名な「セブン」のオープニングをみるに認めざるをえない。恐らく今作でも映像と音楽との親和性はすごく高いだろう。未見なのでこれ以上は実際に見てからの判断にしたいが。さて、今作もハウ・トゥ・デストロイ・エンジェルズを初めて聴いたときと同じように、待ってましたと言わんばかりのトレント節オンパレードである(動ではなく静の)。陰鬱としたインダストリアル・サウンド、ふとしたタイミングで響くピアノ、通低音として鳴るようなノイズなど殆ど"Ghost I-IV"なんじゃないかと思うほど。そういえばあれも白昼夢の「サウンドトラック」だったか。NINの活動にいったん終止符を打った今、彼は作りたいものを作る、やりたいことをやるというフェーズへと突入しているのだろう。否、それは"Year Zero"のあたりからそうだったのかもしれないが、それが年々加速してリリースペースが早まっているというのが面白い。今作も休みを返上で制作したらしい。今後も突如として良作をポンポンと生み出すのではないとかいう創作の充実期を感じさせる。
( 2010, Soundtrack )
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・"How to Destroy Angels"レビュー
・"鉄男 THE BULLET MAN 完全オリジナル・サウンドトラック盤"レビュー
・"The Slip"レビュー
2010年
05月
29日
(土)
14:15 |
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鉄男 THE BULLET MAN 完全オリジナル・サウンドトラック盤
石川忠による塚本晋也監督作『鉄男 THE BULLET MAN』のサウンドトラック。抑圧された都会の中でスーツを着たサラリーマンが怒りとともに鋼鉄の体へと変貌するという、映画のイメージそのままのインダストリアル・サウンドが展開されている。しかもちょっとインダストリアル風味にしてみたと言う生半可なものではなく、良い意味でやかましいことこの上ない本気のインダストリアル。ノイズが駆け巡り、パーカッションは殴るように響き、鉄がカンカンと叫ぶ。インダストリアルなんて時代遅れ?なんていう疑念は感じさせず、20年ぶりの新たなる鉄男をひたすらに祝福ようだ。ここまで作り手の熱量が伝わってくるサントラは久しぶり。劇場では、この音楽と共に、目まぐるしい映像やけたたましいSEが迫ってくるので、激しい高揚感が存在していた。
そして、20年ぶりの鉄男を製作者と同じぐらい祝福しているのが、Nine Inch Nailsのトレント・レズナーだ。2009年にライヴ活動を終了宣言したことは記憶に新しいが(サマソニの日本ラストライヴも)、なんと活動再開後初作品として今作に「書き下ろしで」新曲を提供しているのだ(!) というのもトレントがPVの製作を懇願する手紙を送っていたぐらい塚本晋也の大ファンで、20年越しの願いがやっと通じた経緯があるらしい。その曲名はずばり"Theme For Tetsuo The Bullet Man"。久々に90年代の鬱積とした感情を爆発させるようなインダストリアル・サウンドと、"Year Zero"以降のエレクトロ、テーマ曲らしいシンフォニックで神々しい雰囲気が混在した傑作に仕上がっている。鉄男への愛が溢れているのが手に取るようにわかるのに加え、やはりトレント・レズナーは天才だと再認識した。インダストリアル好きはニヤリとすること間違いなし。スーツを着て聴くと格別!!
( 2010, Soundtrack )
2010年
04月
07日
(水)
22:02 |
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" ロックマン10 オリジナルサウンドトラック "
前作ロックマン9でファミコンとしての続編を作るという思いの元8bitへの回帰をし、話題となったロックマンシリーズ。今回の記念すべき10作目は前作から一歩進んで、8bitとしての完全新作を作るんだ!という気概が感じられる力作となっている。死にまくる(ティウンティウンしまくる)が何度でも挑戦したくなる絶妙な難易度、ステージに盛り込まれる豊富な新アイディアなど、つい熱中して童心に戻ってしまうような。もちろん、音楽も8bitであり、完全新作である。そして今作は歴代のロックマンシリーズのサウンド担当者が集結したという豪華な内容に(失礼ながら名前を見てもピンと来ない・・・もちろんシリーズの音楽は頭に焼き付いているよ)。
前作から比べるとロックマンらしい哀愁っていうのは後退していると思うのだが、それと引き換えに今回は全体に渡る覇気が凄い。新作がリズム的に面白いものや、アグレッシヴなものが多いのに加えて、過去シリーズの既出曲に関してもアレンジがされていたり。ここまで哀愁要素が少ないのは、カプコン/インティ・クリエイツのはみ出すような気合と、今の技術に慣れ親しんだ音楽的頭脳で作った曲を8bitに置き換えているように思えるからかな。ただそうは言ってもやはり、過去にも見られたメロディーの素晴らしさは健在であるし、20歳を超えている人が聴けば「あーこれこれ!」となるような懐かしさも感じられるものなのでご心配なく。
サントラってまとめて聴くと普通は「あれ?こんな曲あったっけ?」って曲が必ずあるんだけど、ロックマンに関してそれがないんだよね。すごく印象的な音楽が多いってことなのか、単純にゲーム中に聴いた回数が多いのか・・・・・・あっ、死にまくってるから聴いた回数が多いのかぁ!(涙)
( 2010, Soundtrack )
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・"ロックマン9 オリジナルサウンドトラック"レビュー
2009年
07月
31日
(金)
22:13 |
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" [DS版]クロノ・トリガー オリジナル・サウンドトラック " / 光田康典
DS版のクロノ・トリガー発売を機に新装版のサントラが発売された。中身については既に
自分も沢山語ってきたし、多くの人に語られていると思うので敢えてそれは避ける方向で
(レビューとは言えないが)。思ったことをとりあえず箇条書き。
・DS版というよりは「完全版」。PS版のサントラでも未収録の音源が入っていたり、全曲が
リマスタリングされていたり。
・リマスタリングに関してはなかなかのもの。オリジナルサウンドのCDを持っていないので
忠実な比較は出来ないけれど、昔にテレビの前でやっていたときはこんなにクリアーな
音質ではなかった。とはいってもSFC音源なので相当なファンではない限りわざわざ買い
直すほどではないような・・・。
・パッケージは良い。初回生産パッケージに時間軸(?)のデザインが。これがファンには
結構嬉しかったりする。
・付属のDVDには光田さんのインタビューとオーケストラ音源の5.1chが。インタビューは
公式HPで見られたもののロングverといった感じでちょっと残念。もっと長いインタビュー
を付けて欲しかったところ。5.1verは非常に良い、むしろこっちがメインのような。音の
広がりが本当に凄くてステレオ以上に感動。最早映画音楽みたい。
と、結果的には満足。久しぶりにクロノ・トリガーをプレイしたくなった。
今後、願わくばオーケストラアレンジverなどを出して欲しい。
( 2009 , Soundtrack )
2008年
11月
30日
(日)
09:03 |
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" Chrono Trigger Orchestra Extra Soundtracks " / 光田康典
DS版クロノトリガーの特典として付属する今作。ソフト自体は買ってないのだけれど、偶然
聴ける機会があったのでレビュー(近いうちオクで買う予定)。この記事を見てもらえれば分
かるように、自分は光田康典という音楽家に全幅の信頼を置いている。そして、その記事の
中でこんなことを書いている―「願わくば、現在の技術で再構成されたクロノ・トリガーの音
楽を聴いてみたい。」 正直言って夢物語で十中八九実現しないと思ってたが・・・なんと実現
してしまったのだ!本当に待ってました!!恐らく子供のときにこのゲームをやっていた人
なら、この尋常ではない興奮も容易に理解してもらえるだろう。だってあの名作クロノトリガー
の公式オーケストラ音源だよ!?
そして肝心の内容だが、元々オーケストラにしても全然不自然ではないというか、光田氏
の頭の中ではこういう風に鳴っていたということなので、実に自然な仕上がり。変に大げさ
ではなく、クロノ・トリガーと言うゲームのイメージが大切にされた、流石光田氏といったところ。
テーマ曲「クロノ・トリガー」はまさにこうして欲しかった!というのが具現化されていて、感動。
懐かしさも相まって泣きそうに。メドレーはどの曲にするか散々悩んだらしいが、主要な曲は
きちんと盛り込んでいると思う。色々な場面が矢継ぎ早に繰り出されるので、思い出が一気
に蘇って来る。しかもちゃんと一曲で起承転結をつけているのが素敵過ぎる。確かにもっと長
尺で聴きたかったというのはあるのだが、「特典」という制作の関係上仕方の無いことだろう。
それは今後アレンジ・アルバムと言う形で出してくれれば本望。というか絶対出して欲しいよ、
ここまでするなら。光田氏も「出せれば良い」とインタビューで言っているので、ちょっと期待し
てしまう。兎に角、夢をもう一度ありがとうございます。今はこれを聴き倒します。
( 2008, Compilation )
- Track List -
01. クロノ・トリガー ~Orchestra Version~
02. クロノ・トリガーメドレー ~Orchestra Version~
(「予感」「ガルディア王国千年祭」「風の憧憬」「カエルのテーマ」「魔王決戦」
「エピローグ~親しき仲間へ~」「遥かなる時の彼方へ」)
2008年
11月
26日
(水)
09:36 |
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" ロックマン9 オリジナルサウンドトラック " / III
ゲーム業界にそこまで詳しくない自分ではあるが、今年のゲーム業界において最も
輝いていたのはMGS4でもGTA4でもDS版クロノトリガーでもなく、断然ロックマン9で
あったように思う(MGS4以外はプレイ動画を見ただけだけれども)。「ファミコンの新作
!?」と銘打たれた本作は、ドット絵の復活だけでなく、制約があるからこそ工夫され
たステージ作り、スライディングもタメ撃ちも無いシンプルさなど、昨今のゲームが失っ
ているものを取り戻そうかとする原点回帰的作品だった(もちろんレトロにすればよい
と言うわけではない、要は発想の問題)。そしてそのサントラもまたそのような内容に
なっている。まず音は8bit、基本である。やはり8bitのロックマンはしっくり来るなぁ。マ
リオがワクワク感、FFやドラクエが映画のような壮大さを感じさせるとしたら、ロックマン
にあるのは哀愁だ。歌謡曲的ともノスタルジックともとれるメロディーと、少ないながら
も印象的な音色は、新音源ながら懐かしさを感じる(一部使い回しも見られるけどね)。
今は大人になった人達が、昔を懐かしむ歌詞をあて、大流行した「おくせんまん」もロッ
クマンであったのは、一番これが身に入り込むように感じるからだろう。ファミコンの音
楽と言えばロックマン、そう思う人は少なくないはず。今色々と8bit音源を懐かしむ動き
があるが、やはりロックマン以外は亜流のようなものだ。兎に角カプコンGJ、そして
1000円で販売というのだからこのゲームの開発チームは最早神様みたいな人達だ。
ぜひPS3でも配信してね。
( 2008 , Soundtrack )
2008年
11月
16日
(日)
13:33 |
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" The Dark Knight " / Hans Zimmer & James Newton Howard
映画「ダークナイト」のサウンドトラック。自分は「ダークナイト」が21世紀の映画の中で
指折りの作品であると確信してるが、そのサントラもまた素晴らしい。とは言っても、自
分は普段サントラというものを頻繁には聴かない人種なので(「ブレードランナー」で有
名なヴァンゲリスや、菅野よう子、光田康典ぐらい)、ハンス・ジマーとジェームズ・ニュ
ートン・ハワードといっても正直イマイチピンとこない。「コラテラル」、「グラディエーター」
、「ブラックホーク・ダウン 」、「ハンニバル 」など、それぞれ二人の手がけた作品を知っ
て、何となく成る程と思ったぐらい。そんなサントラ初心者でも今作が優れていると断定
できるのは、映画の世界観を見事に捉えているからに他ならない。突拍子なものと古典
的なものの同居、暗さや退廃、そして荘厳さを内包したまさにダークナイト本編そのもの。
また映画と同様サントラにおいても、「バットマン×ジョーカー×トゥー・フェイス」というコン
セプトが守られていて、それぞれに楽曲が当てはめられているのも面白い。勿論自分が
特別に興味をそそられたのはジョーカーの楽曲。その中でも冒頭の"Why So Serious?"
が最も印象的。不協和音と不安を掻き立てるようなストリングスが鳴るイントロから、突如
インダストリアルへと移行するのだが、音楽だけでジョーカーの狂気を表現しているといっ
ても過言ではない。映画を見ればヒース・レジャーの演技とこの音楽が同時にやってくる
のだから、そりゃ鳥肌も止まらないわけだ。他にも予告編でかかりまくっていたあの曲や、
ハービー・デントの切なくて叙情的な曲もまた聴き所。兎に角映画を見て、良いと思った
人なら、一聴の価値あり。というか聴かないとこれは!
★★★★☆ ( 2008, Soundtrack)
2008年
06月
03日
(火)
06:49 |
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" There Will Be Blood Soundtrack " / Jonny Greenwood
映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のサントラ盤。映画のストーリーを簡単に書くと「舞台は
20世紀初頭のカリフォルニア。鉱山労働者だったダニエル・プレインビュー(ダニエル・デイ・
ルイス)が、石油採掘に成功し、富と権力を得てのし上がっていく様を描いた物語。」だそう。
ある意味タイムリーな話題であると思うし、主演のダニエル・デイ・ルイスが予告編でも良い
味を出していたので、いつか拝見したいと思っている映画だ。でもそんな自分の注目を一層
高めたのは、このサントラ。もうお気付きだとは思うが、制作者はレディオヘッドのギタリスト、
ジョニー・グリーンウッドである。ジョニーと言えば2003年に、"Bodysong"というサントラを出
している。正確には覚えていないけど、たしか人体についての映画で、台詞の無い音楽と映
像が融合した作品だったと思う(未見)。それは、レディオヘッドのもつ緊張感を抜き出したよ
うな作品で、ジョニーがレディオヘッドの音楽に大きく貢献することを実感させられた。一音楽
作品としても鑑賞に値する素晴らしいものである。今作はハリウッド映画のサントラなので、
きっと映像をブーストするという意味以上のものは作れなかったのだろうが、それでもジョニー
の音楽センスを知るためには十分過ぎる。ストリングスを全編に用いた統一感のあるサウンド
で、背筋がピンとするような独特の緊張感が持続する。よくあるような大げさなストリングスで
はなく、あくまで世界観を作るためというのが、いかにもと言う感じ。レディオヘッド・ファンは
一聴の価値ありだ。
( 2007, Soundtrack)